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あなたの不動産を高く売るための『7つの手…

あなたの不動産を高く売るための『7つの手順』

あなたの不動産を高く売るための『7つの手順』

インターネットの普及により、不動産の売却に関する窓口(不動産会社)を探すことは、以前よりも格段に便利になりました。

特に一括査定サイトの台頭により、1社1社に連絡をとらなくても複数社の査定金額を知ることができ、売主様(以下、売主)が選べる選択肢が大きく増えたように思います。

実際に、GoogleやYahoo!で『不動産 査定』と入力すると、上位に表示されるのは、一部の大手不動産会社を除き、一括査定サイトやその広告アフィリエイトが大半となっています。

一方で、インターネットは不動産会社間の情報格差も解消しました。私自身、大手不動産会社から独立しましたが、取得できる情報量は大手在籍中とほとんどかわりません。

この記事をご覧頂いている方の中で、実際に一括査定サイトをご利用された方がいれば実感されているかもしれませんが、大手でも中小でも提示された査定額に大きな違いはないはずです。

不動産(特に土地・戸建)を査定する際には、周辺で成約した事例を基に算出するため、査定額が大きくずれるほうが特殊のはずで、至極あたりまえのこととも言えます。

では、会社間の査定額格差がほとんどない状況で、多くある売却の窓口からどのように売主自身にあった不動産会社を探せばよいのでしょうか。

言い換えれば、「どのようにすれば売主の利益を最大化することができるのか。」

今回は、土地・戸建の売却において『売主の利益を最大化』する方法について、わかりやすく説明していきます。

最後までお読み頂ければ、これから不動産の売却をお考えの方や現在販売中でうまく進んでいない方が、これからやらなければいけないことがご理解頂けると思います。

※ 項目ごとに、実践しながら読み進めることをお奨め致します。

「なにを目的に売却するか」を確認する

金額算出よりも先に、目的を明確にする

不動産を売却するということは、「不動産という資産を現金資産に置き換える行為」です。

諸費用や税金などがかからないかぎりにおいては、(実際に諸費用・税金がかからないことは無いが)その資産性は現金資産と同等のものです。

つまり、「置き換えた現金資産で何をしたいか」が、不動産売却の目的となるはずです。

現金資産で、「住替え先を購入したい」のか「相続で取得した不可分財産である不動産を、可分財産である現金にし、相続人で分配したい」のかでは、売却の方法も期間も手続きも大きく変わります。

あたりまえのことのように思われるかもしれませんが、相続や調停など、複雑な事情が重なり合っている場合においては、当初明確にしておいた目的が揺らいでしまうことが多々あります。

当然、不動産売却は当初の目的を達成するために、計画を立てて進めていますので、途中で目的が変更になった場合、計画を組み直すこととなり、よくない結果を生み出す危険性もあります。

『不動産売却の目的を明確にすること』はとても重要なことです。途中で揺らがない目的設定を行ってください。

目的の達成時期を決定する

まず、はじめに、「不動産は長く市場に情報を公開していれば、良い買主が見つかり高く売却できる」ということはありません。

不動産の売却価格は、売却時における経済の状況・建築コストなどに大きく影響を受けます。

たとえば、リーマンショックの下落局面で売却するのか、アベノミクスの上昇局面で売却するのかでは価格差が30%以上生じる事例もありました。

つまり、不動産価格は経済状況によって、予測することが出来るということになります。

稀に「時間をかけても良いので、なるべく高額で売却したい。」との要望を頂きますが、売却時期に経済が下落局面にあれば、「なるべく早く、経済が悪くなる前に売却する」ことが高額で売却することにつながります。

反対に、経済が上昇局面にある場合は、少し高値での値段設定で経済が追いついてくるのを待っていても良いと思います。基本的に、このような経済状況を加味したうえで、実際の販売計画を構築していきます。

販売期間の決定については、下記に代表例を記載しておきます。

1.相続税納付のための売却
相続税の申告・納付期限は、相続発生から10ヶ月以内です。

四十九日までは、なかなか具体的な行動をすることは難しいため、売却を開始する時期を2ヵ月後とします。買主が決まり、売買契約を行った後に、売主側の引渡しの準備や買主側の銀行融資審査期間があるため、これも2ヶ月と設定します。期間に猶予を持たせるため、これらの期間に1ヶ月を加算すると、具体的に販売活動ができる期間は5ヶ月間となります。

2.売却後、お住替え
売却先が決定してからの購入であれば、特に販売活動の期間に制限はありません。

しかし、販売期間中(買主が決まっていない状況)において、ご自身にあった住み替え先が出てくることがしばしばあるため、すぐに売却できる状況にしておく必要があります。

あらかじめ、不動産会社の買取金額を確認するなどの対策をし、良い購入先を買い逃さない状況をつくっておきましょう。

3.「空き家」になった自宅の売却
居住用財産の3,000万円控除を利用できる期間は、空き家にした日から3年目の年末までです。(詳しくは、「【空き家の売却】住宅を売却するときに気をつけたいこと(空家編)」参照。)

さらに、家屋を解体した場合については、以下の要件が追加されます。

・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

上記の期間を経過すると、最大で600万円超の譲渡税が加算されることになるため、注意しながら期間設定を行ってください。

合わせて、相続した空き家の売却については、「『あなたの期限は今年かも?!』相続空き家に係る3,000万円特別控除の特例」をご覧ください。

販売の期間を決定することは、効果的な活動を行うことにおいて重要です。行き当たりばったりの販売活動を継続することは、市場にマイナスの印象を与えかねないため、注意が必要です。

 

売却後、どのような生活を希望するか

自宅を売却された後に、どのような生活を希望するか。第2の人生をどのように送るかをイメージしてください。

そして、そのイメージを不動産仲介会社(以下、仲介会社)とできるだけ共有してください。仲介会社の担当者(以下「仲介担当者」若しくは「担当者」)の知識や経験があればあるほど、売主にとって有益な情報が得られる可能性が高くなります。

不動産の売却や住み替えは、仲介会社(ひいては、担当者)が良い計画を立てられるかどうかにかかっていることが多く、決して会社の規模や査定額算出では図れないものです。

売却・住み替えのパートナーとなる仲介担当者が、売主にとって良い理解者であり、寄り添ったご計画が立てられれば、きっと良い取引ができるはずです。

不動産の価値を把握する

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不動産価格を把握する際に、仲介会社から提出された「査定書」を確認するだけで済ませていないでしょうか。

もちろん、仲介会社が作製する査定書を確認することは大切です。ただし、その査定書が正しいかどうか判断できることはより重要なこととなりえます。

よくご相談でいただく内容に「とても高い金額で査定してもらえたので依頼したが、売却のめどが立たない」や「不動産会社に安く売却させられた」などがありますが、もしご自身である程度正しい判断基準をお持ちであれば防げていたことかと思います。

この章では、正しい判断基準を持つために行うことをわかりやすくご説明していきます。

自分で査定を行う

以前の記事で『自宅・実家を売却するときに、自分で価格を計算する方法【土地60-80坪・世田谷、渋谷、目黒区編】』を公開しました。

タイトルでは、世田谷・渋谷・目黒区に絞っていますが(弊社が下北沢にあるため)、路線価・公示地価が設定されている都市部であれば、基本的にはどの地域でも金額の算出が可能です。

実際に記事公開後、この方法で査定を行ったお客様は、北区・豊島区の方です。もちろん、弊社でもより綿密な調査を行い、査定書を作製致しましたが、大きな金額の違いはありませんでした。

是非、売却前にお試しいただき、ご自身で不動産の価値の算出をしてみてください。売却の際の判断基準として把握しておくことは、売主にとって有益かと思います。

買取金額の算出方法

「相続での売却」や「住替えに伴い、売却金を用いて、住替え先の購入が決定している」など、売却するまでの期限に制限がある場合は、販売活動を開始する前に、不動産会社による買取価格の把握も重要となります。

期限が迫ってきても、一般市場での売却がうまく進まない場合は、買取を選択することになるかと思いますが、買取金額は購入する法人によってさまざまで、判断基準を持たないで決定することは売主に不利益をもたらす可能性があります。

また、あまり知られていない事実かもしれませんが、一般市場に売却するより不動産会社による買取のほうが高額の場合も多くあります。

これは、現況のひとつの宅地として利用するより、いくつかに分筆し(土地を分けること)、新築戸建として販売したほうが流通性が高い地域や商業地域などで個人では建築できないビルやマンションを建築する場合に起こり得ることですが、一概に定義できるものではありません。

ただ、買取=安いという前提は販売活動を行ううえでリスクを生む可能性があります。

では、具体的な買取価格の算出方法を以下に記載します。

1.周辺の新築戸建物件情報を調べる
売却を検討している物件と同一地域での新築物件情報をインターネットや折込広告などから取得してください。物件を販売している不動産会社は周辺事例をマーケティングしたうえで、販売価格を設定しているので、その地域において、需要が大きい価格帯と考えられます。

2.取得原価を算出する
不動産会社が、不動産を買い取り、新築戸建を販売するまでに、以下の費用がかかっています。

①購入時の仲介手数料=(購入金額×3%+6万円)+消費税
②売却時の仲介手数料=(売却金額×3%+6万円)+消費税
③旧建物の解体費用=坪5万円前後(木造)
④建物建築費用/1棟=1,600~1,900万円(仮定)
⑤測量・登記諸費用
⑥外構・地盤調査等=1棟100万円前後


計算をわかりやすくするために、下記事例を利用します。

『事 例』
周辺新築の情報
・東京都台東区
・棟数:4棟
・土地:60㎡(約18.1坪)
・建物:100㎡ / 3LDK
・分譲価格:金4,580万円

取得減価を計算する前に、分譲している不動産会社の利益を差し引きます。ここでは、おおよそ10%とします。(各社規定によって異なる。)

・ 金4,580万円×90%=約4,120万円…A

では、上記の諸経費を計算していきます。ちなみに、①は最後に計算し、③は新築の情報からは不明の為、暫定値となります。

②売却時の仲介手数料
(4,580万円×3%+6万円)×1.08
=約155万円

③旧建物の解体費用
暫定的に、延床120㎡(36.3坪)の木造建築の古家とします。
36.3坪×5万円=約180万円

④建物建築費用
目安数字:1,600万円とします。

⑤測量・登記諸費用
1棟あたり、約60万円とします。

⑥外構・地盤調査等
1棟100万円前後

次に、Aから差し引きをします。

・4,120万円-(②+③+④+⑤+⑥)= 2,025万円

最後に①を求めて、取得原価を算出します。

①:(2,025万円×3%+6万円)×1.08=約72万円

原価:2,025万円-72万円=約1,953万円
1,953万円×4=7,812万円

分譲地の全体が、240㎡(約72坪)とすると、不動産会社による買取金額は、金7,800~7,900万円と推測できます。

ちなみに、事例の周辺相場は、坪110万円前後です。買取金額と一般市場の成約金額はほぼ同等となるため、成約までの期間や金額以外の条件が売主にとって有利なほうで契約を進めることができます。

販売活動を開始する前の段階で、計算しておくことをお勧めします。

※「仲介会社」と「買取をする不動産会社」は異なります。買取をする不動産会社は、基本的には仲介業務を行わない為、多くの場合仲介会社を通じて紹介してもらいます。ちなみに、弊社は「仲介会社」になります。

売却金額は仲介会社の責任にできない

しばしば、契約前にご不安を感じられた売主からのご相談を頂きます。

「この金額は妥当ですか?」という内容が多いのですが、ご不安に思われている場合、金額に妥当性がないことのほうが多いように感じます。

実は、前述した買取金額の事例は、実際の相談事例に基づくものです。当初ご相談いただいた際は、金6,500万円での契約予定でした。

ただ、依頼されていた仲介会社の担当者に悪意はなく、むしろ正しい金額と考えていたようです。
もし、そのままご契約に至っていたとしても仲介会社の担当者に法的責任はありません。

売主ご自身で判断基準を持つことは、売主の利益を最大化するうえでは重要なことです。自分で査定を行って頂ければ、いざ仲介会社から査定書を提出されたときに、金額・条件が売主にとって妥当なものか判断できるはずです。

売却した場合に課税される税金の計算

不動産を売却した場合、売主には譲渡税が課税されます。良い条件で売却ができたとしても、譲渡税に係る特例が利用できる期間を超過している場合は、多くの税金が課税されることになります。

譲渡税は高額になることが多い為、事前に把握しておきましょう。

※この章は、文面が長くなることを避けるため、詳細に記載してある記事をご案内させて頂きます。該当する記事をご確認頂き、計算に役立ててください。

譲渡税の計算方法

まず、売却する不動産の保有期間によって税率がかわります。下記記事に記載されている内容を把握していただき、譲渡益(売却した時にした利益)に対してどのくらいの譲渡税がかかるかを把握してください。

不動産を売却するとどれくらいの税金がかかるのか?【軽減税率・基礎編】

上記記事を公開した後に、相続で取得した不動産についてご質問を頂きましたので、補足として記載します。

相続で取得した不動産については、被相続人(お亡くなりになった方)の所有期間を引き継ぐことができます。たとえば、父親が30年保有した不動産を相続した場合、長期保有不動産の譲渡となるため、税率は20.315%です。

特例による控除の確認

居住用財産の3,000万円控除や、平成28年4月に施工予定の相続空き家に係る3,000万円控除などをご確認下さい。

適用条件や期間を確認し、可能な限り利用し売却を進めていく必要があります。

不動産を売却するときの税金は安くなる?【軽減税率と3,000万円控除編】

『あなたの期限は今年かも?!』相続空き家に係る3,000万円特別控除の特例

「譲渡税が高い」と思うあなたに試してほしい方法【不動産売却時の税金】

3,000万円控除の適用については、税理士などの専門家でも意見がわかれることもあり、複雑な場合はご自身だけで判断せず、早めに専門家へのご相談をしてください。弊社で取り扱いした事例を下記に記載しておきます。

『弊社取り扱い事例』

【3,000万円控除難問編】実家の土地を売る。前編

【3,000万円控除難問編】 実家の土地を売る。後編

譲渡税:まとめ

ご自宅や空き家のご実家を売却する場合は、3,000万円控除を利用できる可能性がありますが、居住しなくなってから(もしくは、空き家になってから)3年目の年末までという期限があります。

税額が最大で600万円かわることから、販売計画を立てるときは、控除が適用される期間・条件を十分意識して行ってください。

仲介会社に販売を依頼する

前述の方法で、査定額や税額などを把握したのち、仲介会社に査定を依頼し、媒介契約を締結することになります。

この章では、準備から媒介契約を締結するところまでご説明致します。

資料の準備

法務局の調査や区役所などの行政庁の調査などは、専門家である仲介会社が行いますので、売主は下記資料を取り揃えます。

『売主が準備する資料』
・権利証(登記識別情報通知)
・購入時の契約書類(あれば)
・測量図(古いものでも)
・隣地との覚書
・借地や収益物件の場合は、賃貸借契約書

境界の確認

土地や戸建を売却する場合は、隣地との境界確認が必要となってきます。可能であれば、査定を依頼する前に境界石やプレートの有無を確認しておいてください。

参考記事:【土地を売る】境界を見つけられますか?

中には、隣接地の方と境界のことで争いになっている方がいらっしゃると思いますが、問題がある場合には自分で解決しようとせず、その状況を仲介会社の担当者にお伝えください。解決の糸口を見つけてくれるはずです。

土地・建物の瑕疵担保責任について

多くの場合、売主は、売却後(残代金決済・引き渡し後)に買主に対し瑕疵担保責任を負います。この「瑕疵担保」ということば自体聞きなれない言葉かと思います。

民法上の解釈からご説明することが本来のかたちとなりますが、ここでは実際に『個人の売主が不動産を売却する際に、必要な理解』に絞ってわかりやすくご説明します。(民法の話も興味深いことが多いのですが、裁判にならない限りあまり意識することでもありません。)

瑕疵とは「欠陥や不具合」のことです。売買契約書を締結する際に、売主が負う瑕疵の責任は下記の通りです。

①雨漏り
②シロアリの害
③建物構造上主要な木部の腐蝕
④給排水管(敷地内埋設管を含む)の故障
⑤土地の隠れた瑕疵

売買契約の内容によって異なりますが、上記①~⑤について、残代金・決済後3ヶ月の間に発見されたものは売主の責任と負担で修復(雨漏り箇所の修復・シロアリの駆除など)をしなければなりません。

⑤の土地の隠れた瑕疵によって、買主が購入の目的を達成できない場合は、契約を解除することが出来ます。たとえば、土地に大きな問題があり、自宅の建物が建築できない場合などが解除条件に該当します。

解除まで至る土地の瑕疵は稀ですが、土地の瑕疵にあたる代表例を下記に記載致します。

■土地の隠れたる瑕疵
・使用しないで埋め戻した浄化槽
・井戸
・旧建物の廃材(埋め戻している)
・土壌汚染(クリーニング店などは注意)など。

売却した土地に買主が建築を行う際、敷地内から上記のようなものが発見された場合、売主の負担にて処分を行うこととなります。ちなみに、旧建物の廃材が出てくる場合が多く、費用は20~30万円ほど要します。

瑕疵担保責任は、売買契約時までに売主が買主に告知をしていれば免責となります。土地の隠れた瑕疵については、把握すること自体困難ですが、建物の雨漏りやシロアリの被害など、可能な限り把握している情報を販売活動前に仲介会社に伝え、売買契約後のトラブルが無いようにしましょう。

※物件状況等報告書などを用いて、買主に事前説明を行います。

 建物の設備確認

売買契約時に、売主が作製した「設備表」を買主に交付します。設備表の項目は書式により多少異なりますが、大きく分けて「キッチン関係」・「浴室・洗面設備関係」・「トイレ・洗濯機関係」・「居住空間関係」・「その他」で構成されています。

設備の売主保証期間は、1週間前後(契約形態によっては保証なし)です。普段生活していて不具合を感じた部分については、詳細に買主に伝えるようにしましょう。

瑕疵・設備の項目は、取引終了後にもっともトラブルが発生しやすいため、注意深く確認を行い、買主(若しくは、仲介会社)に説明するようにしてください。

不動産会社への査定依頼

時間を要しますが、前述の項目をすべてご確認頂ければ、仲介会社の査定や説明は簡単にご理解頂けると思います。税金の計算など行えない仲介会社も存在するため、ときには担当者よりも知識がある状態かもしれません。

査定を依頼する仲介会社の数は、何社でもかまいません。1社であれ、前述した知識と大きく違いが無ければ、安心して一任できます。複数社の場合でも、相場とかけ離れた金額・条件等を提示してくる会社は除外できるはずです。

売主側で構築した「判断基準」に沿って依頼をする仲介会社を選択してください。

1.目的にあった販売計画

販売活動において、販売計画は重要です。前述したとおり、市場に情報を長く公開することは市場に対しよくない印象を与えかねません。1年も2年も売却できていない情報を見ることをお考えになればご理解いただけると思います。

基本的に販売計画を次の2つの要素を使い構築します。

①販売価格の設定
②仮定買主へのアプローチ

詳しくご説明します。

①販売価格の設定
販売価格を設定する場合は、最低4つの価格を準備します。成約期間はおおよその場合、3ヶ月~5ヶ月で設定します。

1.成約予想価格
2.売出価格
3.上限価格
4.不動産会社買取価格

1.成約予想価格:市場に情報を出した場合、3週間以内に買主が見つかる価格。
2.売出価格:1.に10~15%程度乗じた金額であり、この金額で売却できれば高額で売れたと思われる価格。
3.上限価格:市場相場より20%以上高い価格で、販売期間に余裕がある場合に短期間実施しても良いと思われます。
4.不動産会社買取金額:期限が決まっている販売活動(相続や裁判など)の場合は必ずご確認ください。

どの地域でも相場は存在し、相場の2倍での成約はありえません。高値を目指す場合、相場からかけ離れた数値での販売活動は避け、相場の限界を目指すように設定することが望ましいと考えられます。

不動産会社の査定額が著しく高い場合、本当に売却できる目処はあるのか、見通しなどを確認し、高すぎる売出しを行わないように注意してください。

②仮定買主へのアプローチ
不動産も売却する以上、商品です。商品である以上、需要と供給の中で取引が成立するため、売却する不動産を必要とする買主に効果的に情報が届く戦略を練らなければなりません。

実際に、近隣に資金力がある方が多い地域での販売活動において、インターネットや新聞折込での広告効果が無かったものが、現地に看板を設置した翌日に申し込みが入ったという事例もあります。

仮定の買主にとって、どんな方法が効果的なのか。担当者と打ち合わせを重ね、出来るだけ早期に試みてください。

2.媒介契約の種類を決める

信頼できる仲介会社を選定した後、媒介契約を締結します。媒介契約の種類や特徴は別の記事に記載して有りますので、ご参照ください。

3種類ある媒介契約 【基礎理解編】 | 選び方で不動産売却の成功を左右する?!
土地を売るとき気をつけて!売却の成功が決まる「媒介契約の結び方」

期限が決まっている場合や相続などの場合、信頼できる仲介会社に専任(専属専任)媒介で依頼することをお奨めいたします。

当初の予定通りに進めるためにも、あまり多くの仲介会社に依頼することはお奨めできません。

販売活動の開始

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いよいよ販売活動を開始します。前述の工程にて構築した販売計画通り進むかどうかが重要になってきます。

これは弊社のお客様の感想ですが、「計画通りに進められて、安心できた」という状況であれば、構築された計画に間違いがなかったことになります。

ここでは、仲介会社が行う基本的な販売活動をご紹介します。

・インターネットへの登録(スーモ・ホームズ等)
・新聞折込広告
・周辺への直接広告(チラシ・DM)
・現地看板
・既存顧客への紹介

これらの中から「仮定買主へのアプローチ」に効果的な方法に重点を置き、販売活動を展開していきます。「とにかく多くの人に届く方法」は、過度に行うと情報の希少性を下げ、逆効果を生む可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。

3期に分けて考える販売活動

東京や近郊都市などの都心部(東北であれば仙台なども同様)においては、販売活動の期間を3ヶ月前後と考えます。一方で、経済や人口が減少している地域においては、4ヶ月~6ヶ月の期間を設けて販売活動を計画していきます。

人口1

上記は、日本の総人口推移を現したグラフです。今後も人口減少は続き、都市部への一極集中は避けられないでしょう。

別の表現で言い換えれば、地域格差により「売却しやすい地域と売却しにくい地域」がはっきり区別されていきます。売却しやすい地域は今後も安定的に需要が有り、売却も賃貸も期待できるでしょうが、売却しにくい地域に位置している不動産はある一定時期から加速度的に相場が下落すると予想しています。

では、それぞれの地域での販売計画を3期に分けてご説明します。

1.売却しやすい地域での販売活動

・1期(活動開始3週間前後):上限価格(市場価格に20%を乗じた金額)での販売活動が可能な時期。経済状況によって不動産価格が上昇する可能性があれば、1ヶ月間ほど継続しても問題ありません。

・2期(販売活動開始3週目前後~2ヶ月目):売出価格にて販売活動をする時期。周辺物件と相場が一致するように価格設定を行う。市場に広告する期間を3期のなかで、一番長くとる。

・3期(販売活動3ヶ月目):成約予想価格に、販売価格を近づけますが、買主からの値段交渉を加味した上での設定を行う。周辺成約事例の確認もこまめに行い、成約予想にずれが無いかも意識する。

売却しやすい地域では、ほとんどの場合上記の期間で売却できるはずです。もし、売却できない場合は当初の不動産仲介会社と決めた計画に無理があることが多いため、見直しが必要です。

2.売却しにくい地域での販売活動

・1期(活動開始2週間前後):上限価格(市場価格に20%を乗じた金額)での販売活動が可能な時期。人口や経済が減少している地域において、この価格帯での販売活動は長く行わないほうがよいでしょう。市場に「高すぎる」という印象を強くあたえかねません。

・2期(販売活動開始2週目前後~3ヶ月目):売出価格にて販売活動をする時期。周辺物件と相場が一致するように価格設定を行う。需要が少ない地域では長期化する可能性が高いため、2ヶ月半前後を目安に考えます。

・3期(販売活動4ヶ月目以降):1期、2期での案内状況を考慮したうえで、現況相場の一段低い金額での販売活動を行います。この時期までに売却の目処が立てられていない場合は、販売活動が相場の後追いになっている可能性が高いため、価格設定を大きく見直します。

売却しにくい地域の販売活動において、結果的に売主の利益を減少させる原因の多くは「相場の後追い」です。相場下落を追いかけている状況ではいつまでも成約に至れません。周辺の相場動向を意識し価格設定を行い、少しずつ値段を下げていく方法は避けるようにしましょう。

仮定買主へのアプローチが出来ているか

ペルソナという言葉をご存知でしょうか?

ペルソナ = あなたの製品やサービスの理想の顧客の人物像。

マーケティング用語ですが、不動産の販売活動においても有用です。ペルソナ自体は理想の顧客像のため、一人の購入者が全ての条件を満たすわけではないのですが、ペルソナを設定し、その顧客層に効果的に不動産情報が届くようにしましょう。

※WEB、ブランド戦略で利用されることが多く、購入者が一人に絞られる不動産売買において、狭義の意味では異なる言い方かもしれません。

わかりやすく説明します。

「仮定買主へのアプローチ」を前述しましたが、この仮定買主こそがペルソナです。人物像のため、実在するデータから構築します。(著しく高価で購入する人物を設定するわけではありません。)

弊社が販売にあたり作成しているペルソナをご紹介します。

■事例:世田谷区代田5丁目土地 / 販売価格:1億2,000万円 / 面積:135㎡(約40坪)

上記を販売する場合、購入者の理想像(ペルソナ)は下記の通りです。

『購入者の理想像』
○性別:男性
○年齢:45歳
○職業:財閥系大手の役員
○所得:1,200万円前後
○世帯:妻・娘の3人家族

○購入動機:現在、通勤に便利な都心部のマンションに住んでおり不満はないが、このままマンションで住み続けるのではなく、将来的には戸建を建築したいと考えている。
家族に相談したところ、妻は庭でのガーデニング・娘は今よりも広い部屋を希望していることがわかり、この度土地を購入し、自宅を建築することを決めるに至った。
希望の建築ができるよう住宅メーカーに相談したところ、世田谷区代田の土地を紹介され、予算は若干オーバーしていたものの、マイナス金利などが後押しになり見学に至った。

明確にしたペルソナに従い、従来の広告と併用して、情報の提供先を決めます。今回の場合ですと、周辺住宅メーカーに情報を届けることが必要になります。意外に思えるかもしれませんが、住宅メーカーはレインズからの情報を得られない会社が多く、直接情報提供すると顧客を紹介してくれる事が、しばしばあります。

ペルソナ(仮定買主)は、理想の人物像です。人物像に近い購入者に出会えれば、売主の利益は大きくなるはずです。逆に無作為・無計画の販売活動は、販売期間の長期化を招くだけでなく、成約価格の低下をもたらす可能性があるため、避けるべきでしょう。

弊社では、個人の買主のほかに法人購入者のペルソナも設定し、並行して進めるように図っています。ペルソナの設定には経験・実績が必要になることが多く、担当の仲介会社と打ち合わせのうえ、作成するようにしましょう。

買主案内時の注意点

実際にご案内となった際の一般的な注意点を3つ紹介します。

室内の整理整頓

戸建の販売活動の場合は、クローゼットや押入れなどの収納の中まで購入者が見る前提で準備をしましょう。モデルルームのようにとまではいいませんが、清潔感があり明るい空間を見ることは気持ちが良いもので、買主にとっても好印象です。

ご案内したお客様が見られない部分が無いように、整理整頓をしておきましょう。

住環境の再確認

不動産に係る専門的な事項は、仲介会社がお答えできますが、周辺の住環境や近隣との関係、細かくは小学校や中学校の雰囲気などはお住まいの方しかお答えできません。

立地や条件などが同等の物件で悩んでいるお客様には有効なアピールポイントになるため、買主の質問に答えられるように住環境の整理をしておくと良いでしょう。

居住しているメリット・デメリット

住んでいて気に入っている点や不便に感じている点などを素直にお伝えいただくと買主に好印象です。どのような不動産でもメリット・デメリットがあり、特にデメリットの面は後から判明すると悪印象を与えかねません。

後々のトラブルを避けるため、知っていることは細かく事前に伝えるようにしましょう。

ご案内時の注意点を3例お伝えしましたが、重要なことは「買主に納得して購入して頂くこと」です。整理整頓や掃除などは必要ですが、過度のアピールはマイナスに働きかねませんので、避けるようにしましょう。

価格交渉~売買契約

前述の計画通りに進めていれば、遅くとも販売開始から3ヶ月~5ヶ月以内に買主から購入申し込みが入ります。購入申込みから契約締結の流れと詳細をご説明します。

販売計画の確認

購入申込みにて提示された金額に価格交渉があった場合(ほとんどの場合ありますが)、当初構築した計画に戻り、売却後の生活に支障がないか再確認をしてください。

たとえ大幅な価格交渉であっても、上限価格で販売している期間中であれば、当初の成約予想価格は20%以上低い価格です。結果的に相場より高い金額で売却できるのであればお話を進めることも良いでしょう。

ただし、大幅な値段交渉が入り、その金額が相場以下の金額であった場合は注意が必要です。売却しやすい地域であれば断わり、次の購入者を待つことができます。しかし、売却しにくい地域の場合、相場が下落していることを加味して、条件付きで売却を承認するなどしたほうが良いかもしれません。(たとえば、1ヵ月の間に購入者が現れない場合は譲るなど)

理由を明確にして交渉にあたる

中古戸建や土地を購入する側(買主)は(特に購入することがはじめての場合は)、少なからず不安を感じているものです。価格交渉を行うこと自体、予算という将来設計に基づくリスクヘッジとも言えます。

買主から価格交渉が入った金額に対し、高い金額や条件を返す場合は、相手にその金額の根拠を示すようにしましょう。

根拠は、査定額を算出したときに行った「金額・条件の妥当性」をご説明することで十分かと思います。単に高い金額を示した場合よりも買主も納得しやすく、応じてくれる可能性も高くなります。

不動産は売主にとって大切な資産です。一方、買主にとっては数ある物件の中で出会った不動産のため、価値の理解が売主より進んでいないことが予測されます。資産性などをご理解いただけるように交渉にあたりましょう。

売買契約書・重要事項説明書の事前確認

契約書面は必ず契約の前日までに一読頂き、ご理解することをお奨め致します。慣習的に不動産業界では、契約の当日に重要事項説明書・売買契約書をご説明することが多いのですが、多岐にわたる書類を契約の時間でご理解することは難しいことです。

事前に書面による説明を受け、当日は事前承諾した中で、不安点や不明点の再確認程度にすることが望ましいでしょう。

不動産取引におけるトラブルのほとんどが、契約書類に関することです。当初、打ち合わせた内容通りになっているかを注意深くご確認下さい。

まとめ

売主の利益を最大化するためには、『売主自身が判断基準を持ち、最適な買主に正しい情報を伝えること』が重要です。

最適な購入者に正しい情報を届ける重要性を、仲介を担当する(若しくは、している)会社の担当者が理解せず、周辺相場にとらわれているだけでは、売主の利益を最大限確保することは難しいでしょう。

もし、現在思うように販売活動が進んでいない場合は、この記事に書いてあることをもう一度ご確認し、方向修正を図ってください。

 

今回も最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。
皆様の不動産売却が成功しますように心より願っております。

成功事例

この記事を書いた人

山﨑 紘靖
山﨑 紘靖
過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。

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