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親の介護費用を賄うために実家を売却!知っ…

親の介護費用を賄うために実家を売却!知っておきたい方法と税金のポイント

親の介護費用を賄うために実家を売却!知っておきたい方法と税金のポイント

こんにちは、売却コンシェルジュの山﨑です。最近、高齢のご両親が所有する不動産の管理や売却についてのご相談が増えています。

 

「親が住んでいた家をどうしよう」「認知症が進んだ場合どうなるのか」「税金の負担が心配」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

高齢の親が不動産を所有している場合、その状況によって売却方法や手続きが大きく異なります。特に、親御さんの「意思能力」の有無が重要なポイントとなります。もし親が認知症になり、意思能力がなくなってしまうと、本人の同意が得られないため不動産売却が出来なくなってしまう可能性があります。たとえば、空き家になった実家を放置したまま管理費用がかさんだり、施設入所の資金が必要なのに売却できないといった困りごとが生じる恐れがあります。そのため、事前に状況を把握し、適切な対策を講じることが非常に重要です。また、不動産売却には税務上の注意点も多く、早めの準備が将来の負担軽減につながります。

 

今回は、親の状況別に最適な売却方法と税務上のポイントを解説します。以下の目次に沿って、具体的な手続きをお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

目次

1.意思能力とは
2.親に意思能力がある場合、子が代理人となって売却する
3.認知症に備えて家族信託や任意後見制度を活用する
4.親が認知症で意思能力がない場合、成年後見制度を利用する

5.不動産売却時の税金(譲渡税)にご注意をください

 

1.意思能力とは

まず、「意思能力」とは何かについて説明します。意思能力とは、簡単に言えば「自分の行動や契約の内容を理解し、それに基づいて適切な判断を下せる能力」のことです。不動産の売却のような重要な取引では、本人がその内容を理解し、自らの意思で契約を結ぶことが求められます。

たとえば、不動産売買契約を結ぶ際、本人が「この不動産を〇〇万円で売る」という内容を理解し、同意している必要があります。この能力が欠けていると、法律上その契約は無効となる可能性があります。特に高齢者の方の場合、加齢による認知機能の低下や認知症の進行によって、意思能力が問題となるケースが増えています。

 

意思能力が問われる場面

不動産売却では、以下のタイミングで意思能力が重要になります。

  • 売却の意思決定:売るか売らないか、どのタイミングで売るかを決める。
  • 契約書への署名:売買契約書に署名する際、内容を理解しているか。
  • 登記手続き:所有権移転の手続きに同意しているか。

 

判断が難しいケース

意思能力は医師の診断書だけで決まるものではなく、状況や周囲の証言も考慮されます。たとえば、「普段は会話が成り立つが、金銭の管理は混乱する」といった場合、意思能力があるかどうかの判断が難しくなることもあります。このようなケースでは、専門家(弁護士や司法書士)と相談しながら進めるのが安心です。

なぜ意思能力が重要なのか

親が所有する不動産を売却する際、本人の同意がなければ手続きが進められません。もし意思能力がない状態で無理に契約を進めると、後から親族間でトラブルになったり、契約自体が取り消されたりするリスクがあります。

次章以降で、意思能力の有無に応じた対応策を見ていきましょう。

 

2.親に意思能力があり、子が代理人となって売却する

親御さんに意思能力がある場合、子が代理人として売却手続きを進めることが可能です。この方法は、親が「自分で手続きするのは煩わしい」「煩雑な手続きは子どもに任せたい」と考える場合に適しています。

代理人となるための手続き

子が代理人として動くには、親から「委任状」をもらう必要があります。委任状には以下の内容を記載します。

  • 代理人の氏名(子どもの名前)
  • 委任する内容(例:「不動産の売却に関する一切の手続き」)
  • 不動産の詳細(住所、土地・建物の概要)
  • 親の署名と日付
この委任状があれば、子は親に代わって不動産会社との交渉や媒介契約・売買契約書の作成を進められます。ただし、登記手続きでは、不動産の所有者である親本人の意思確認が必要な場合があります。そのため、親の実印や印鑑証明書の準備とともに、契約書への署名や登記手続きに親の同席が求められることが一般的です。事前に不動産会社や司法書士に確認しておくと安心です。

 

メリットと注意点

メリット:親の負担が減り、子が主体的に動ける。意思能力があるうちに手続きを済ませられる。

注意点:委任状の内容が曖昧だとトラブルになる可能性があるため、具体的に記載する。また、他の兄弟姉妹がいる場合、事前に了承を得ておくと後々の争いを避けられます。

 

親が元気なうちに準備を

意思能力がある状態であれば、売却のタイミングや条件を親と相談しながら決められます。「まだ元気だから」と先延ばしにせず、早めに話し合いを進めることをおすすめします。

 

3.認知症に備えて家族信託や任意後見制度を活用する

親がまだ意思能力を持っているうちに、将来の認知症に備える方法として「家族信託」「任意後見制度」が注目されています。これらは、親が判断能力を失う前に、信頼できる家族に財産管理や売却の権限を委ねる仕組みです。

家族信託とは

家族信託は、親(委託者)が不動産や預貯金などの財産を子(受託者)に預け、管理や処分を任せる契約です。たとえば、「親が認知症になったら、実家を売却して施設費用に充てる」といった条件を設定できます。

  • 手続き:信託契約書を作成し、公証役場で公正証書にするのが一般的。司法書士や弁護士に相談しながら進めます。
  • メリット:認知症になった後でも、子が柔軟に財産を管理・売却できる。成年後見制度と異なり、家庭裁判所の監督が不要。
  • 費用:契約書作成や専門家への報酬で数十万円程度かかる場合が多い。

 

任意後見制度とは

任意後見制度は、親が元気なうちに「将来、後見人になってほしい人(子など)」を選び、任意後見契約を結ぶ制度です。認知症などで判断能力が低下した際に、家庭裁判所が後見人として正式に任命します。

  • 手続き:任意後見契約を公証役場で公正証書にし、将来必要になった時点で家庭裁判所に申し立て。
  • メリット:親の意思で後見人を選べる。財産管理の範囲を事前に決められる。
  • 注意点:後見人が動き始めるのは判断能力低下後なので、それまでの管理は別途必要。

 

どちらを選ぶべきか

  • 家族信託:不動産売却や預貯金の積極的な運用を考えている場合に適しています。たとえば、「親が施設に入る際に実家を売って資金にする」「財産を子や孫に計画的に引き継ぐ」といった柔軟な対応が可能です。ただし、身上監護(医療や介護の手続き)はカバーできないため、生活支援は別途家族で支える必要があります。
  • 任意後見:親の生活支援や最低限の財産管理を重視する場合に向いています。たとえば、医療契約や介護施設への入所手続きといった「身上監護」を後見人に任せたいときに有効です。ただし、不動産売却などの大きな財産処分には裁判所の許可が必要になる場合があり、家族信託ほど自由度は高くありません。

 

早めの対策が鍵

家族信託も任意後見も、親に意思能力があるうちにしか手続きできません。認知症が疑われる状態になると契約が難しくなるため、早めに専門家に相談することをおすすめします。

4.親が認知症で意思能力がない場合、成年後見制度を利用する

親がすでに認知症などで意思能力を失っている場合、不動産を売却するには「成年後見制度」を利用する必要があります。この制度は、判断能力が不十分な人を保護し、財産管理をサポートする仕組みです。

成年後見制度の概要

成年後見には「法定後見」と「任意後見」がありますが、ここでは親がすでに意思能力を失っている場合の「法定後見」を解説します。

法定後見とは、認知症や病気などで判断能力が十分でない人の財産や生活を保護するため、家庭裁判所が後見人を選んでサポートする制度です。たとえば、親が認知症で不動産の管理や売却の判断ができない場合、子や専門家が後見人となり、本人に代わって手続きを進めます。後見人は本人の利益を最優先に考え、財産の管理だけでなく、医療や介護の手配なども行います。ただし、不動産売却のような大きな取引には裁判所の許可が必要で、監督のもとで進められるのが特徴です。

手続きの流れ

  1. 家庭裁判所に申し立て:子などの親族が申立人となり、診断書や戸籍謄本を提出。
  2. 後見人の選任:裁判所が状況を審査し、後見人を決定。
  3. 売却の許可申請:後見人が不動産売却を希望する場合、裁判所に理由を説明し許可を得る。
  4. 売却実行:許可が下りれば、後見人が売却手続きを進める。
メリットとデメリット
  • メリット:本人の財産が保護され、必要な売却が可能。
  • デメリット:裁判所の監督下で柔軟性に欠ける。後見人報酬(専門家の場合は月数万円)などの費用が発生。

注意点

後見人が親族であっても、勝手に親(被後見人)の自宅を売却することはできません。自宅の売却には裁判所の許可が必要で、許可申請には売却理由や資金使途を詳細に説明する必要があります。そのため、一般的な売却よりも手続きが複雑で時間もかかります。不動産会社を選ぶ際は、成年後見制度に対応した経験があり、裁判所とのやり取りに慣れている会社を選ぶと安心です。事前に「後見人としての売却実績があるか」を確認することをおすすめします。

 

5.不動産売却時の税金(譲渡税)にご注意をください。

不動産を売却する際、税務上の注意点として「譲渡税」が挙げられます。高齢の親が所有する不動産を売却する場合も例外ではなく、税金の計算や特例の活用が重要です。

譲渡税とは

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税がかかります。簡単に言えば、「売った金額からかかった費用を引いた利益」に税金がかかる仕組みです。以下に具体的な計算方法を説明します。

計算式

①譲渡所得(利益) = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)

②譲渡税=譲渡所得(①で求めた金額)×税率

  • 取得費:不動産を購入した際の費用(建物は減価償却、不明な場合は売却価格の5%で計算)
  • 譲渡費用:仲介手数料や登記費用など
  • 税率:所有期間が5年超(長期譲渡所得)の場合は20.315%、5年以下(短期譲渡所得)の場合は39.63%

特例の活用

3,000万円特別控除(特例)を活用すると、税負担を軽減できます。

3,000万円特別控除とは

自分が住んでいた自宅を売却する場合、譲渡所得から3,000万円を控除することが出来ます。

親が施設に移り、空き家になった実家を売る場合も、一定条件で適用可です。

 

まとめ

高齢の親が所有する不動産の売却は、親の意思能力の有無やタイミングによって方法が異なります。意思能力があるうちに代理人や家族信託を活用する、認知症が進んだ場合は成年後見制度を利用するなど、状況に応じた対策が求められます。また、譲渡税の計算や特例の活用を見落とさないよう、税務面でも準備が必要です。
売却コンシェルジュでは、不動産売却だけでなく、家族信託や成年後見に関するご相談も承っております。お客様の状況に合わせた最適なプランをご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。親御さんの不動産を安心して次につなげるために、ぜひ一緒に考えていきましょう。

 

成功事例

この記事を書いた人

山﨑 紘靖
山﨑 紘靖
過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。

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