相続した土地を売るときに困りたくない方へ(遺言編)
売却不動産を探しております。『最高額を目指したい方』『問題を抱えた不動産をご所有の方』は、是非お問い合わせ下さい。(無料相談・秘密厳守)
今回は遺言についての基礎的なご説明をします。
ちなみに「遺言」は、一般的には「ゆいごん」と読み、法律用語では「いごん」と読みます。
相続などで弁護士に相談に行くと「いごん」と言われますが、「ゆいごん」と同じ意味です。
相続で取得した土地を売る(準備編)で法定相続人や法定相続分についてご説明しましたが、遺言がある場合はこの相続人や相続分が変わってきます。
法定相続人等の制度があるのに、なぜ「遺言」があるのか。
いくら相続財産とはいえ、それは故人の財産であることには変わりありません。故人も遺言の制度を利用し、意思表示が認められているということになります。
では、「遺言と法定相続はどちらが優先されるか」⇒ 「遺言」です。
つまり、法定相続人でない人(例えば、家族でない人)に財産を譲るとしても、遺言を利用すれば認められます。(民法上有効な遺言に限られる。)
※遺言があったとしても、相続人全員(遺言で相続を受けた人も含め)で話し合い、合意をすれば財産分割の割合を変更することができます。
小説やテレビなどでは、愛人などに遺言で財産を残すなどが見受けられますが、実際は長男や孫に他の相続人よりも多くの財産を残したいなどの場合に用いられることが多いです。
遺言は正しく理解したうえで利用しないと争いの原因になります。複雑な権利関係のものを作成する際は、弁護士・司法書士に相談することをお勧め致します。
遺言には種類があることを知っていますか?
遺言の種類は、
■ 普通方式遺言 ①自筆証書遺言 ②公正証書遺言 ③秘密証書遺言
■ 特別方式遺言 ①死亡危急者遺言 ②船舶遭難者遺言 ③在船者遺言
④伝染病隔離者遺言
となります。
そのうち、今回は一般的に使われる①自筆証書遺言 ②公正証書遺言 ③秘密証書遺言についてわかりやすくご説明します。
自筆証書遺言とは、「遺言者が自分で内容、日付、氏名を書いて捺印したもの」です。
公正証書遺言とは、「証人2人以上の立ち会いで公証人が内容を公正証書に作成、各人が署名、捺印したもの」で公正役場で作成するものです。
秘密証書遺言とは、「作成した遺言書に本人が署名、捺印したものを封印し、2人以上の承認の立ち会いで公証人に証明してもらうもの」です。
よくイメージされる金庫や机から発見される遺言書は、「自筆証書遺言」です。自筆証書遺言は、証人の必要もなく自由に作成できる利点はある反面、遺言について正しい知識がないと民法上無効の遺言と判断される可能性があります。例えば日付を「平成27年10月吉日」と記入されたものは無効となります。自筆証書遺言を発見した者は、必ず家庭裁判所に持参し、相続人全員とともに検認手続きを経なければなりません。
公正証書遺言は、公正役場で公証人が作成する為、有効な遺言を作成することが可能です。実際に、弁護士や私共がお勧めしている遺言はこの方式によるものです。証人は相続人や受遺者(遺言により相続を受ける者)以外の第3者となる為、弁護士などに依頼しましょう。尚、公正証書遺言は作成に費用がかかります。
「秘密証書遺言」は、簡易的にご説明すると「自筆遺言」の存在を公正役場が保証するものです。内容について、「有効」「無効」を保証するものではありません。確認した際に内容が無効であれば、遺言の効果が得られないとなります。
※公正証書遺言の手数料参考です。
手数料一覧
公正証書作成時の公証役場の手数料等は、政府が決めた公証人手数料令により、法律行為の目的価格に従って、次のように定められています。
目的の価額 手 数 料 100万円まで 5,000円 200万円まで 7,000円 500万円まで 11,000円 1,000万円まで 17,000円 3,000万円まで 23,000円 5,000万円まで 29,000円 1億円まで 43,000円 3億円まで、5,000万円ごとに13,000円加算 10億円まで、5,000万円ごとに11,000円加算 10億円超は、5,000万円ごとに 8,000円加算
(目的価格の算定例)
- 価額を算定することができないときは、500万円と見なして算定。
- 遺言の場合は、相続人、受遺者毎に価額を算定して合算。不動産は、固定資産評価額を基準に評価。
- 相続、遺贈額合計が1億円に満たないときは、11,000円を加算。
- 以上のほか、公証人が病院等に出張して公正証書を作成するときは、目的価額による手数料が5割増しになり、規定の日当(20,000円、4時間以内10,000円)、旅費(実費額)を負担していただくことになります。
- 遺言の取消しは11,000円、秘密証書遺言は11,000円。
- 正本又は謄本の用紙代、1枚250円。
(日本公証人連合会ホームページ)
遺言によって全財産が他人のものなってしまうの?
例えば、「(ご主人様が)愛人にすべての財産を譲る」という遺言が発見されたとします。当然、奥様や子供は穏やかではいられないでしょう。では法律ではどのように判断されるか。
当該遺言が不倫関係を維持継続するためになされたものではなく、専ら生計を頼っていた女性の生活を保全するためになされたものであり、また遺言の内容が相続人らの生活の基盤を脅かすものではないときには、当該遺言は有効とされています(最高裁昭和61年11月20日判決)。
つまり、愛人関係を継続する為でなく、愛人の生活を支える為のものであれば、その他相続人の生活基盤を揺るがすような財産でない限り、遺言が有効と判断される場合があるということになります。
このような場合は、状況判断を基に考察する為、「相続人の生活状況」や「愛人の生活状況」を確認する必要があり、遺言の「有効」「無効」については裁判で判断することになります。
遺留分とは?
たとえ遺言によって全財産が他人のものになるとできたとしても、法定相続人のうち①配偶者②直系卑属(子、孫)③直系尊属(父、母、祖父、祖母)は一定分を返還要求(遺留分の減殺請求)できるとされています。兄弟姉妹にはこの遺留分がありません。
(出典元:相続安全サポートサービス)
つまり、先の愛人にすべての財産を残すとした遺言が有効だった場合、奥様と子供はそれぞれ1/4は返還請求を愛人に行えるということになります。
愛人の例で記載しましたが、この遺留分を超える財産を誰かに遺贈する場合は、争いが起こりやすいため、事前の協議が重要です。
長男にすべての財産を遺贈するなどの場合についても、その他の子供は遺留分を主張することが可能です。
まとめ
いかがでしたか。
最後に付言事項のご紹介を致します。例えば、長女が長年、両親の看病をしていた場合、両親は長女に、長男より多くの財産を残してあげたいと考えたとします。
しかし、先ほどの遺留分の問題があります。両親は、できれば長男には遺留分の行使をしてほしくないと考えてほしいとします。
そこで遺言に付言事項を記載しておき、長男の遺留分の行使の可能性を少なくしておくと良いでしょう。(付言事項には法的効力はありません。)
今までを振り返ってみると、充実した人生だったことに感謝しています。特に家族の存在は、私にとって大きいものでした。妻との60年あまりに及ぶ結婚生活は素晴らしいものでした。長男は、会社の経営にこれからも頑張って欲しいと思っています。長女は妻の15年に渡る看病介護をし、私の今までの生活をそばにいてよくしてくれて感謝しています。
この遺言は、長男への種々の援助をしてきたこと、長女が私たち夫婦の晩年の生活と看病をしてくれたこと等を考えた上でのものです。
これからも兄弟、それぞれの家族が仲良く、そして幸せな日々をおくってください。(弁護士より 実際の付言事項)
相続が問題なくすむように、準備しておくことも重要です。
相続はそれぞれに良い形があると考えています。ご相談があれば直接お問い合わせ下さい。
この記事を書いた人
- 山﨑 紘靖
- 過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。
お問合せから第二の人生が始まります。
相談は無料です。ご依頼お待ちしています。
-
- お電話でのお問い合わせ
- 03-6450-7073
-
- FAXでのお問い合わせ
- 03-6450-7138