実際の取引で実証済み!マンションを高く売却する為の「5つのコツ」
『マンションの売却を考えているのですが、住宅ローンの返済や売却に必要な諸経費のことを考えると出来るだけ高く売りたいと思います。なにか高く売却できるようなコツはあるのでしょうか?』
弊社では実際にこのようなマンション売却のコツについてのご質問を多く頂きます。
この記事をお読みのあなたもマンションを売却することに対して、「できるだけ高く売却したい」「長期間かけずに、スムーズに売却したい」とお思いなのではないでしょうか?
実は、ここでご紹介する5つのコツを実践して頂ければ、マンションをできるだけ高く、可能な限り早く売却することが出来るようになります。
なぜなら、ここで紹介するマンション売却のコツは、私自身が実際に不動産売却の際に高く売却する為に実践してきたノウハウであると同時に、マンション売却に成功した多くのお客様が実践してきた方法だからです。
ここでは、マンションをできるだけ高く・早く売却するための次の5つのコツをお伝えします。
- マンションを売るための2大原則
- 売却に適した不動産会社の選び方
- お客様の内覧時に絶対抑えておきたいポイント
- なかなか売却できない時の対処法
- 買主との価格交渉の進め方
これらのコツは『相場の1割以上高く』『3ヶ月~4ヶ月以内』にマンションを売却するために弊社が実践に基づきまとめたものです。読み終えて、記事に書かれていることを実践して頂ければ、あなたのマンション売却は成功に近づくはずです。是非参考にして下さい。
1. マンションを売るための2大原則
結論から申し上げると、弊社はマンションを相場より高く、そして早く売却するためにもっとも需要なことを次のように定義しています。
その物件をもっとも必要としている人に、過不足なく情報が伝わること。
当たり前のことでは?と思われるかもしれませんが、この定義を満たす営業活動を行えていない物件は多いものです。たとえば、一人暮らしが想定される1LDKのマンションを売却するのに、小学校・中学校の学区がアピールポイントになっていたり・・・etc。現在、実際に売却活動をしている方で半年間販売活動を行っていてもなかなか売却できない状況に陥ってしまっている場合、この定義を満たす売却活動ができていないと判断できるのではないでしょうか。
一方で、この定義を満たす売却活動を継続していくことができれば、きっとあなたの物件をもっとも必要としている人に3ヶ月~4ヶ月以内に巡り合えるはずです。
この定義を満たす営業活動を行うためには、マンション売却において次の2つの原則を意識することが大切となります。
- 購入希望者の興味を惹く価格設定
- 良さが直接的に伝わる広告作成
いきなり「価格設定」や「広告作成」などの説明になってしまい恐縮ですが、マンション売却においてもっとも重要と考えられる項目のため、あえて最初に説明させて頂きます。もちろん、「不動産会社の選び方」や「購入検討者案内時の方法」などは後ほど説明しますので、是非このまま読み進めてください。
原則1. 購入希望者の興味を惹く価格設定しよう。
購入希望者の興味を惹く価格設定の方法は次の2つを考慮し設定します。
- インターネット広告を意識した価格設定
- 成約が予想される価格より11%~12%高めの価格設定
ひとつひとつ説明します。
インターネット広告を意識した価格設定
マンション購入者の実に70%以上が、インターネットで物件が売りに出されていることを知ると言われています。つまり、現在のマンション売却においてインターネットでの営業活動はとても重要な項目ということになります。
詳細な説明の前に、是非一度購入検討者の気持ちになって、「スーモ」や「ホームズ」などの不動産ポータルサイトでマンションを検索してみてください。多くのポータルサイトでは、次のようなステップで条件を設定し、検索結果を表示する仕組みになっているはずです。
- 駅や地域を選ぶ
- 購入金額の幅を選ぶ
- 間取りや広さなどの詳細条件を追加
このステップのなかで、購入金額を選択する項目は基本的に500万円単位となっています(5,000万円以上~5,500万円未満 など)。
たとえば、もしあなたが成約予想価格4,400万円のマンションの営業活動を行う時に、販売価格を成約予想価格より20%高い5,280万円で設定した場合、予算が5,000万円の購入検討者には情報として届かないことになります。予算が5,000万円以上の購入検討者には情報が届きますが、並列して掲載されている物件は、あなたの物件より築年数が新しかったり、駅までの徒歩距離が近かったりと、あなたの物件が選ばれる可能性をより減らしてしまいます。
情報が届いてほしい人に届かず、届かなくても良い人に届いてしまう状況は、『その物件をもっとも必要としている人に、過不足なく情報が伝わること。』の定義から外れてしまいます。
この場合は、販売価格を高めに設定するとしても4,980万円とするなどの施策が必要となります。
成約が予測される価格より11%~12%高めの価格設定
マンション価格には相場があるため、極端な話になりますが、5,000万円が相場のマンションを7,000万円で売却することはできません。しかし、1割高い5,500万円前後の成約を目指すことはできます。
実はマンションを売却するとき、不動産会社が提案した成約予想価格より少し高めに販売価格を設定することが一般的です。購入検討者が不動産を探すときに、5,000万円~5,500万円の価格帯の不動産情報を検索すると、実際には成約予想価格が4,900万円~5,300万円前後の不動産情報を閲覧していることになります。
ここでも買主の立場になって考えてみてください。ポータルサイトで見つけたり、不動産会社に紹介された条件の近いマンションが複数あった場合、比較検討のため全てを内覧したいと考えるのではないでしょうか。
一方で、20%高い6,000万円で価格設定されていたらどうでしょうか。おそらく、検討対象からは除外されてしまいます。つまり、成約予想価格から11%~12%前後の金額が、本当に情報が届いてほしい人に情報届き、内覧してもらえる上限値となります。
ただし、マンション相場が下落している地域などでは、相場を先読みし、少し低い価格設定を行う必要があります(詳しくは、4章をご覧ください)。
現在はインターネットを利用し、簡単にマンションの相場がわかる時代です。購入検討者が興味を持つ価格の上限を意識し、販売価格の設定を行うようにしましょう。
以上が購入検討者の興味を惹く価格設定の方法です。
次に「良さが直接伝わる広告作成」の説明をします。広告自体は不動産会社が作成するものですが、次に説明するポイントを抑えるだけで、より良い広告を作成してもらえる依頼や指摘ができるようになるので、是非このまま読み進めてください。
原則2. 良さが直接的に伝わる広告作成をしてもらおう。
不動産会社にマンションの売却を依頼すると、不動産会社は販売図面を作成します。販売図面とは、不動産会社の店舗前に並べられている図面のことです。
この販売図面は、売却を担当する不動産会社が購入検討者にマンションを紹介するときにも利用され、更にレインズと呼ばれる不動産会社のみが閲覧できる不動産検索システムにも登録されます。つまり、そのマンションをお客様に薦める時にほとんど全ての場合で使用されることになります。
購入検討者が初めてマンションの詳細情報を知る図面であるため、営業活動においても重要な項目です。
では、より良い広告を不動産会社に作成してもらうためには、どうしたら良いかを理解するために、販売図面によってどのような印象の違いがあるかを説明します。
販売図面によって購入検討者が受ける印象の違いを知ろう。
まず、次の2つの図面をご覧ください。
■販売図面例①
■販売図面例②
あなたはどのような印象を受けたでしょうか?
実は、この2つは全く同じマンションの部屋を販売している図面です。しかし、受ける印象や得られる情報については、多くの方が「販売図面①」に好印象を抱くのではないでしょうか。
「メラビアンの法則」で証明されている通り、人は視覚によって得られる情報に大きな影響を受けます。一目見て、マンションの雰囲気(写真)や間取りが分かり、その先の詳細情報に興味を抱いてもらえるような販売図面を目指しましょう。
良さを直接的に伝える広告とは?
販売図面の視覚印象が良くなれば、購入検討者は詳細情報に目を移してくれます。そこに、購入検討者が求める情報があれば、興味がわき、より細かい情報や実際の内覧まで至ることができます。
では、購入検討者の興味を惹く情報とはどのような情報なのでしょうか?
ここでも、購入検討者の立場になって考えてみてください。もし、あなたが小さい子供がいる3人家族の世帯だった場合、次のどちらのキャッチコピーに興味を持つでしょうか?
- 駅至近!買い物施設も多く高い利便性!閑静な住宅地内に存する低層マンション
- 駅まで徒歩6分。歩いて1分の場所に公園もある住宅地内にある低層マンション。お子様のいる家庭も多く住んでいます。
どちらも同じマンションを表現しているのですが、この物件の購入者になるであろう3~4人家族には明らかに後者の情報のほうが響くのではないでしょうか。
このことから、広告は事実や証拠を現実味を以って表現し、直接的に伝えるほうが購入検討者には良い印象を与えることができ、その物件をもっとも必要としている人に、過不足なく情報が伝わること。という定義にも合致します。
これは飲食店の広告でも、「驚くほどおいしい!」といくら表現するより「100人中97人がまた食べたいと言った!」のほうが食べたくなることを考えれば特別なことではありません。あなたも不動産会社とともに、購入検討者の興味を惹き、内覧したくなるような販売図面を目指しましょう。
以上がマンションを売る為の2大原則です。不動産会社に売却を任せっきりにするのではなく、この2つの原則を意識して不動産会社とともに「価格設定」と「販売図面の作成」を行うだけでも、あなたのマンション売却は成功にぐっと近づくはずです。
続いて、不動産会社の選び方について説明します。不動産会社や特にその担当者はあなたのマンション売却の成功を左右しますので、このまま読み続けてください。
2. マンション売却に適した不動産会社の選び方
いくらあなたがマンション売却に前向きでも、その売却を担当する不動産会社や担当者が効果がある営業活動をしてくれなければいつまでたってもマンションを売ることができません。逆に、あなたのマンションを売却するために、的確な営業活動を行う知識や経験がある不動産会社や担当者に出会えたら、あなたのマンション売却はほとんど成功したと思っても良いかもしれません。
そこで、私が不動産会社の選び方についてお客様からご相談を頂いた際に、実際にお伝えしている方法をご紹介します。
それが、以下の3つです。
- ① 必ず複数の不動産会社に査定を依頼する。
- ② 会社の規模よりも、担当者で選ぶようにする。
- ③ 離婚や相続などで権利関係が複雑の場合、専門家を探す。
ひとつひとつ説明します。
ポイント① 必ず複数の不動産会社に査定を依頼する。
複数の会社に査定を依頼すると、マンションの査定額だけでなく、実際に成約する価格も上昇する傾向にあります。まずは、次の記事をご覧ください。
家を相場より高く売れる人、売れない人の差は?by LIFULL HOMES
実際に家を売った人480人に行ったアンケートの結果ですが、査定額より高く売れた人は、査定額通りや査定額より低かった人に比べてより多くの不動産会社に査定を依頼していることがわかります。
実は、1社だけの査定ではその査定額が本当に正しいのかわかりません。私たちプロでさえ、査定額を算出するときは最後の最後まで成約予想価格を考え抜き、その時の経済市況を鑑みながら3%~10%前後高くするか、低くするかなどを悩むものです。(たとえ3%でも、100万円以上変わることもあるので真剣に悩みます。。)
プロから見ても査定額にズレは生じてしまうものなので、売主側の立場になると的確な査定額は、複数社に査定を依頼し、それぞれの査定書を比較検討することでしか得られないということになります。
一括査定サイトや大手不動産会社、地元の不動産会社など最低でも2社~3社に査定を依頼するようにしましょう。
ポイント② 会社の規模よりも、担当者で選ぶようにする。
大手不動産会社に依頼してもマンション売却に失敗してしまうことはあります。一方で、小規模の会社であっても大手不動産会社よりも高くマンションを売却できることもあります。実際に弊社では、大手不動産会社に依頼してうまくいかなかった売主からの売却依頼を受け、売却に成功している事例が多くあります。(決して大手不動産会社が悪いと言っているわけではありません。私自身10年近く大手不動産会社に勤め、その会社のことを素晴らしいと思っています。)
このことから、マンション売却の成否は、依頼する会社の規模に左右されることではないということがわかります。
さらに、他社に売却を依頼してうまくいかなかった原因について、私が売主に理由や原因を聞くと次のような回答が圧倒的に多いことに気が付きました。
- 担当者の知識不足(案内中の購入検討者の質問に的確に答えられないなど。)
- 進捗報告などの連絡をほとんどくれないので、状況が掴めない。
- 現状の改善策の提案を的確にもらえず、値段変更ばかり要求してくる。
うまくいかなかった理由や原因のほとんどが、その売主の担当者に対するものでした。
以上のことから、マンションを売却するときの不動産会社選びで大切なことは「会社規模よりも、あなたに適した担当者を選ぶ」ことと考えられます。
あなたのマンション売却に適した担当者を選ぶために、「担当者を選ぶ際の基準」を記載します。
“マンション売却の担当者を選ぶ基準”
- 言葉遣いが丁寧で、礼儀正しい。
- 宅地建物取引士の資格を有している。
- 専門用語を避け、わかりやすく説明してくれる。
- マンションやお部屋、周辺環境について細かく調査や質問を行ってくれる。
- 購入者層などのターゲットをしっかりと捉え、販売戦略を持っている。
- 説明に資料や根拠を用いている。(口頭で済まさない)
- 何かを依頼すると素早く的確に行ってくれる。
ぜひ、担当者選びの参考にして良い担当者を選ぶようにしましょう。
ポイント③ 離婚や相続などで権利関係が複雑の場合、専門家を探す。
実は、マンション売却自体に必要な法律の知識は、戸建や土地に比べて多くありません。しかし、売却理由が次の項目に該当する場合、専門知識を有した不動産会社や担当者に依頼するようにしてください。
- 離婚による売却で、弁護士が介入している。
- 住宅ローンが売却金額では返済しきれず、銀行との交渉が必要な場合(任意売却)
- 相続したマンションの売却で、相続人同士でもめている場合
- マンションを貸している場合で、賃借人と家賃滞納などのトラブルがある場合
このような問題がある場合、専門知識を有した専門家をインターネットなどで探し、マンション売却を依頼するようにしましょう。専門知識のない担当者に依頼し、後々トラブルになってしまうと想像以上の時間や労力を要することになります。
※注:不動産会社は離婚や相続の争いごと自体の解決を図ることはできません。争いごとの解決は弁護士に依頼する必要があります。
3. お客様の内覧時に絶対に抑えておきたいポイント
マンションの販売を開始し、しばらくすると実際にお客様の内覧希望が入ります。いままで行ってきた広告活動などの効果なので、是非購入検討者に好印象を抱いてもらえるようにしたい場面です。
購入検討者の内覧時に抑えておきたいポイントは次の2つです。
- ① 室内の整理整頓、軽微な補修
- ② 生活実感を伝える
ひとつひとつ説明します。
ポイント① 室内の整理整頓、軽微な補修を行っておく。
売りに出ている中古マンションの半分以上は居住中のまま売りに出しています。特に住み替えなどの場合は、住宅ローンの関係もあり売却した資金で住み替え先を購入する為、居住中での販売活動は多くなります。
居住中の室内をご案内するときは、次にあげる点に注意し、購入希望者に気持ちよく内覧をしてもらいましょう。
整理整頓や不用品の処分は早めに行う。
室内をできるだけすっきり広く開放感があるように演出するためには、整理整頓が欠かせません。散らかっている部屋を見て購入意欲が高まる人はいない為、売却することが決まった段階で早めに室内を整理整頓するようにしましょう。
実際に契約が決まれば引っ越しを行うため、不用品処分も早い段階から始めてください。特に、造り付のクローゼットや押入れの中はお客様が奥行きや収納力などを確認するため、中を見ます。物が多く広さが分からない状況は避けるようにしましょう。
清潔感があり、すっきりしている室内は、購入検討者に好印象を与え、購入後の生活像が膨らみます。具体的な申し込みにつながることでもある為、整理整頓は重要です。
軽微な補修を行う。
中古マンションを売却する際は、売主側で大規模なリフォームを行う必要はありません。しかし、購入希望者に悪い印象を与えてしまう次の破損や汚れについては補修やハウスクリーニングを行うようにしましょう。
- 壁やふすまに穴が開いている
- 洋室のクロスにカビや目立つ汚れがある
- キッチン、お風呂、トイレなどの水回りのしつこい汚れ
- その他、明らかな破損箇所がある場合
どれも軽微な補修やハウスクリーニングで解消でき、費用も数万円で済むものばかりです。逆に放置してしまうと、購入検討者からの値段交渉の原因となってしまう為、注意が必要です。
ポイント② お客様には生活実感を伝えるようにしましょう。
不動産会社の担当者がいくら調べてもわからないものが、実際に住んで感じた生活実感です。内覧するお客様も、真剣に購入を考えていればいるほど、生活した実感を知りたがるものです。
しかし、生活実感をうまく表現したり、誇張して伝えたりする必要はありません。あなたが感じていることをそのまま伝えて頂くことが一番購入検討者が求めていることであるとも思います。
ここでは、内覧時にお客様から聞かれることの多い質問をご紹介します。
- このマンションは住んでみていかがですか?
- 普段のお買い物はどちらに行かれていますか?
- ゴミ出しはどのようなルールですか?
- 上下左右のお部屋からの音が気になることはありますか?
- 生活していて困ったことはありますか?
これらの事柄をお客様から質問されたときは、あなたが思っていることや実際に行っていることを丁寧にわかりやすく答えて、お客様が購入後の生活を想像するお手伝いをするようにしましょう。
以上が案内時に抑えておきたいポイントです。文章で読むと簡単なことに思えますが、実際に行うと時間を要することも多いため、早めの準備をするようにしてください。なお、専門的な質問については不動産会社の担当者が的確に答えてくれます。(中には、案内に同席してくれない会社もある為、その場合は売却依頼先の不動産会社を変更するなどの対応が必要です。)
4. なかなか売却できない場合の対処法
信頼できる不動産会社に依頼し、マンション売却を始めたが、半年間経っても売却出来ない場合、売れない原因が必ず存在します。そして、その原因は私の経験上、時間が解決してくれることはほとんどありません。この章では、なかなか売却できない主要な原因を状況別に2つご紹介し、解決策をご説明します。
それが次の2つの状況です。
- 内覧は継続的にあるものの、売却まで至らない。
- 内覧がほとんどなく、月に1~2件程度。
ひとつひとつ説明します。
4-1. 内覧はあるものの、契約できない場合の対処方法
毎週1組以上の内覧があるにも関わらず、マンションが売却出来ない場合、販売価格や室内に問題があるとは考えづらい状況です。
この場合の問題点は次の2つです。
- ターゲット層を読み違え、本当に情報が届いてほしい人に届いていない。
- インターネット広告に頼りすぎ、チラシやオープンハウスを行っていない。
順に説明します。
4-1-1. ターゲット層を読み違え、本当に情報が届いてほしい人に届いていない。
端的に申し上げると、いままで内覧した方の興味を惹く物件ではなかったということになります。
弊社の過去の実例でご紹介します。売主様からのご相談は「6社の不動産会社と一般媒介契約を締結し、毎週2組以上の内覧が入る状態を半年間以上続けていますが、成約に至らない」というものでした。
そこで、弊社の提案した解決策は2つです。
- 媒介契約を弊社だけに依頼する専任媒介契約への変更
- 購入者像を徹底的にリサーチし、その方だけが興味を抱く広告を実施
解決策の理由を説明します。
不動産会社を1社(弊社だけ)に絞った理由
6社の不動産会社に同時に売却依頼をした場合、インターネット上のマンションの広告はどのような状態になるかご存知でしょうか。ほとんどすべてのポータルサイトに6社分の広告が並列で掲載され、購入者の立場から観ると「たくさん売りに出ている」や「売れ残っている」という印象さえ与えかねません。
不動産は人生で一番高価な買い物です。
「たくさん売りに出されている」や「売れ残っている」印象があるマンションよりも、「たった一つだけ売りに出ている」や「買い逃したらいつ出会えるかわからない」印象のマンションのほうが、より強く興味を持つのではないでしょうか。
ご相談者の方にも、情報を限定的にし、希少性の原理が働くような販売活動に切り替えを行うため、不動産会社を1社だけに絞ってもらいました。良く目にする「弊社だけの未公開物件」や「残り1棟」などの広告はこの希少性の原理を利用しているもので、その効果はとても大きいものです。
購入者像を徹底的にリサーチし、その方だけが興味を頂く広告を実施
とにかく多くの広告を行えば、マンションは売却できるということでもありません。広告で大切なことは、『その物件をもっとも必要としている人に、過不足なく情報が伝わること。』です。
広告を行う前提として、この「もっとも必要としている人は誰なのか」を考える必要があります。弊社では、そのマンションのその他の部屋の居住者の状況などをリサーチし、次の項目に合わせて「もっとも必要としている人」を特定するようにしています。
- 性別
- 年齢
- 職業(仮定)
- 所得(購入できる所得)
- 世帯規模(家族構成)
- 現在の住まい
- 勤務地
ここで出来上がる買主像は、想定ですが、現にそのマンションに住んでいる(つまり、購入した)人をリサーチし作成している為、高い確率で実際の購入者に近い人物像が出来上がるはずです。
情報の希少性を上げ、ターゲットを絞った広告ができれば、具体的に購入検討を行ってくれる買主に出会えるはずです。
4-1-2. インターネット広告に頼りすぎ、チラシやオープンハウスを行っていない。
第1章でインターネット広告が重要であることは伝えましたが、インターネットだけに販売活動が依存してしまうと売却する物件周辺の地域に住んでいる購入検討者の需要を逃してしまうこともあります。
たとえば、子供を近くに呼び寄せたいと考えている親世代には、インターネット広告の効果は薄いものです。実際に、弊社でも新聞折込広告(その物件だけを紹介したもの)を行い、そのような希望を持つ親御様の目にとまり契約になったという事例があります。
同じようにオープンハウスも効果があります。インターネット上の写真や動画でいくら伝えても、お部屋の雰囲気や日当たりなどの印象はわからないものです。実際に、3ヵ月間で1組の内覧しかなかったマンションが、(まだ居住中でしたが)オープンハウスを行い、その日にご来場したお客様と契約に至ったという事例も存在します。
インターネット広告だけに頼るのではなく、新聞折込広告やオープンハウスを積極的に行ってもらうようにしましょう。
4-2. 内覧がほとんどない場合の対処法
販売活動を行っても月に1~2件ほどしか内覧が無い場合、販売している価格が、マンション相場に比べて高すぎると考えられます。この場合の対処法は次の2つです。
- 中古マンション相場が上昇している地域であれば、少しの価格調整をし、相場の上昇を待つ。
- 中古マンション相場が下落している地域であれば、相場の先読みをした価格設定をする。
順に説明します。
4-2-1. 相場が上昇している地域では、少しの価格調整をし、相場の上昇を待つ。
まずは、次のグラフをご覧ください。
見てわかる通り、都心部のマンション単価は日経平均株価と同じ動きをしており、中古マンションに至ってはアベノミクスが始まってから30%~40%も上昇をしました。
このように中古マンション相場が上昇している地域では、相場よりも10%以上高値での販売価格を設定したとしても相場が上がるのを待っていれば、相場が追い付いてきてくれます。しかし、高すぎる価格設定(相場の20%以上高値など)は相場がいつまでたっても追いつかない可能性があるため、少し値段調整を行い、相場よりも10%高い値段設定に変更するようにしましょう。
4-2-2. 相場が下がっている地域では、相場の先読みをした価格設定をする。
都心部の中古マンション相場は上がっていても、郊外の地域ではマンション相場が横ばいか緩やかに下落傾向にあります。不動産会社に依頼し、同じマンション内での過去5年間全ての成約情報を集めれば、マンション成約㎡単価がどのように推移しているか把握できるはずです。
相場が下がっている地域では、マンションを査定した時点よりも成約予想価格が下がっている可能性があるため、再査定を行い、現在の査定価格を算出してもらうようにしましょう。又、再度算出した査定価格より10%以上も高い販売価格に設定してしまうといつまでたってもマンション販売価格が相場に追い付かずに、将来的にさらに値段を下げる必要が出てくるため、販売価格の設定は再算出した査定額の1%~5%上位の設定に留めておくほうが良いでしょう。
以上が、マンションがなかなか売却できない時の対処法です。最初の査定時に相場の読み違いをしている場合もあるため、マンション相場はこまめに不動産会社と確認するようにしましょう。
5. 買主との価格交渉の進め方
購入検討者が内覧を行い、購入の意思が固まると、買主側の不動産会社を通して購入申込書を受け取ります。販売をしている価格のまま購入申し込みをもらえれば良いのですが、中古マンションの販売では、多くの場合買主からの値段交渉を多かれ少なかれ受けることになります。
買主との値段交渉は、売却金額を決定する最終段階なので慎重に進めて満足いくマンション売却を目指しましょう。
買主との値段交渉のポイントは次の2つです。
- ① 買主の住宅ローン審査は事前に通してもらう。
- ② 成約予想価格の5%~10%前後高値を目指す。
順に説明します。
ポイント① 買主の住宅ローン審査は事前に通してもらう。
買主から購入申し込みが入ったとしても、その買主が本当に購入できるかどうかは、住宅ローンの事前審査を行うまでわかりません。住宅ローンの事前審査は、都市銀行であれば3~4日ほどで結果がでるので、購入申し込みと同時に銀行の住宅ローン審査を進めてもらうようにしましょう。
住宅ローン審査を行わないで、売買契約を締結することもできますが、買主の住宅ローン審査が通過しなかった場合、その売買契約は白紙解除になるため注意しましょう。
ポイント② 成約予想価格(相場)の5%~10%前後高値を目指す。
購入検討者の中には、20%以上も低い金額で購入申込を行う方もいます。もし、今までこの記事でご紹介した販売活動をしてきたのであれば、20%以上低い値段で契約してしまうと相場よりも10%近く安く売却してしまうことになります。
20%以上の大きな値段交渉がある申し込みに対しては、あなたが納得できる金額を相手に提示し、交渉が進まないようであればお断りしても良いと考えております。
売却している地域や不動産市況により異なることもありますが、あなたの物件をもっとも必要としている人に情報が届くような販売活動を通して、購入申込を頂いた買主であれば、成約予想価格の5%~10%前後の高値での成約は目指せるはずです。
さいごに:購入者の気持ちを想像しよう。
あなたも、売主ではなく、購入者の立場になって考えてみてください。
「自分や自分の家族にピッタリだ!」と思える物件の広告を見て、実際に内覧に出かけたら、室内は清潔感と開放感があり、住んでいる人も幸せそうだった。不動産会社に住宅ローンの審査をお願いしたら、自分たちでも問題なく購入できるとわかった。
私たちは、この状況こそがマンションを高く売却できる状況だと考えています。
是非、今回ご紹介したマンション売却のコツを試してみてください。あなたのマンション売却が成功することを願っています。
不動産売却論は〝売却コンシェルジュ”の公式ブログです。
この記事を書いた人
- 山﨑 紘靖
- 過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。
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