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【兄弟と共有】相続した家を売る(相談)

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【兄弟と共有】相続した家を売る(相談)

こんにちは。売却コンシェルジュ代表の山﨑紘靖です。

さて、今回の記事は、実際に当社にお問い合わせ頂いたお客様からの質問を基に作製しました。

相続後、兄弟で共有になった不動産の活用について、参考になればと思います。

『相 談』
父が無くなり、姉妹4人で実家の相続をしました。姉妹の間で意見の違いがあり、長女と次女は「実家の思い入れもある為、将来は売却を考えているが、現段階では売りたくない。」三女は、「実家を売ることはできないので、保有し続けたい。」四女は「すぐに売りたい。」とのことです。
姉妹は仲がよく、一緒に旅行にいくなどしていましたが、今回のことでもめている状況です。
実家はどのようにすることが一番望ましいのでしょうか。
(50代・東京都)※一部個人情報の関係で変更しております。

相続した実家の売却については、当社でもっとも多いご相談です。

では、今回のご相談に沿って、実家を兄弟・姉妹で相続した場合の進め方を説明していきます。

ちなみにご相談の不動産は、査定額:金8,000万円です。

ひとりひとりのなぜ?を整理する

なぜ

あたりまえですが、大切なことです。
今回の相談内容をまとめると次の通りです。

・長女、次女:将来的には売却。現段階は保有。
・三女   :将来的にも保有。
・四女   :すぐに売却。

ということです。
ここでなぜ保有したいのか、なぜ売却したいのかを整理していきます。

・長女、次女、三女は、「思い入れのある実家のため」と言っている通り、お気持ちの面で売却したくない。

では、四女は「なぜ売却をしたいか?」
売却して得た資金を活用したいから とのことです。

もし四女が気持ちの面で、例えば「実家によい思い出がなく、残しておきたくない」などの理由ですと、解決まで時間を要します。

しかし、資金の面での意見であれば、いくつかの選択肢はありそうです。

どのような選択肢があるか?

姉妹間でのお話合いにより、意見の食い違いの性質を整理したので、次は解決策についてご説明していきます。

◎選択肢
1.不動産を売却して、資金を相続人で分割する。
2.四女に4分の1の資金を支払い、不動産の所有権を放棄してもらう。( 代償分割といいます )
3.不動産を収益物件に加工し、収益を所有者間でわける。

主に上記3つの選択肢が今回は妥当と判断しました。
1.は、現況のままの売却となりますので、先に投資する金額等は必要ありません。
2.は、今回は査定額金8,000万円なので、四女に金2,000万円を支払うこととなります。
3.は、例えばアパートに変更する場合は、アパートの建築費+実家の解体費用が必要です。

今回の相談の場合は、1.か2.となります。

3.については、試算したところ費用が8,000万円を超えたことと賃貸住宅の需要が大きくない地域のため、見送りました。

補足的に説明をしますが、民法上は相続人のひとりひとりの権利は平等です。
少し高齢の方ですと、「長男が実家を継ぐので、全ての財産を長男にゆずる」(家督相続)というお客様もおりますが、生前に相続対策を適切にしておかないかぎり、兄弟間で争いに発展するケースが増えています。

現在の民法は、相続財産を何人かで分ける場合、均等にわけることが前提となっています。(均分相続
相続のありかたについては、長くなるので、別の記事でご説明します。

ご相談に話を戻します。

姉妹にお集まり頂き、1.と2.の手続きについてご説明しました。
四女は、どちらでも良いとのことでしたので、長女・次女・三女のお話合いの結果、当初は1,の売却を進める方向で決定しました。

ただし、ひとことに売却といっても条件等の詳細な設定が必要になってきます。

例えば、市場より高値で売りに出す場合、成約までの期間を要するため、四女の希望は叶えられません。
しかし、すぐ売れる金額で売りに出すと、高く売れる可能性の追求ができないため、結果的に少し損をすることになります。

ここからは、仲介会社の仕事ですが、市場の動向を踏まえ適切な金額と大まかな販売期間を算出します。

ご説明書類を含む査定書が完成した時点で、姉妹皆様に説明をし、できればお話合いの内容を書面化しておきます。

なぜ、書面化までするのか?

相続はほとんどの場合、ご家族間でのお話し合いで進めていきます。

普段の生活のなかであれば、ご家族の間でまとまらないことがあっても、時間が解決してくれるかもしれません。
しかし、相続の場合、資産がかかわるため「言った・言わない」の争いに発展しやすく、相続について意見が一致していないのであれば尚更気をつけたほうが良いと思われます。

当社では、お打ち合わせのたびに書面の作成を行い、相続人全員の理解・見解の一致を心がけております。

争いに発展しないために

姉妹皆様の同意のもと、販売価格が決まり、実際に3ヶ月間の販売活動を行いました。
当初の成約価格予想価格よりも条件の良い金額での購入者が現れたため、契約を取り纏めることに。

ただ、契約の直前になり姉妹の中で意見がわれる結果になりました。

詳細は省きますが、結果として契約は行わず、四女に対して他の3人が2,000万円を支払って、四女が不動産の所有権を放棄することで解決することとなりました。

代償分割

姉妹で話し合いをもった結果、妹に現金2,000万円を支払い、土地の所有権を放棄してもらう形での相続となりました。このような分割方法を代償分割といいます。

 代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人又は数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法です。
(国税庁HP)

例えば、実家を長男が継いだため、他の相続人に相当分の金銭を支払うなどの方法で相続を行う場合に用います。

今回のご相談の場合は、妹に金額を支払うと同時に、あらかじめ司法書士に作製してもらった相続登記の書類(代償分割の内容・金額が記載されたもの)に署名・捺印をいただき、完了となりました。

ここでも、先に作製した書面が有効になります。
司法書士に内容を理解していただき、正確な書類を作成してもらいましょう。

さいごに

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今回、ご相談いただいたお客様は結果的に不動産の売却を行ないませんでした。

大手・中小限らず、仲介会社としては売却を進めるほうが多いように思いますし、営利活動ですので当然でもあると思います。

しかし、売却だけが一番よい解決策というわけではないのです。

ご家族とのお話し合いを通しながら、どのような選択肢があり、どれがもっともご自身に合っているか判断していくことが大切です。

もし、相続のことでご相談があれば、お問い合わせください。

成功事例

この記事を書いた人

山﨑 紘靖
山﨑 紘靖
過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。

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