誰にも知られずに「少しでも高く」土地を売る方法
『地域の人に知られずに不動産の売却をしたいのですが…』
弊社でも、しばしば売主様から頂くご要望です。「事業に失敗し維持できない」「離婚することになった」など、売主様ひとりひとり理由は異なり、売却するまでの期間や希望価格もさまざまですが、結論から申し上げると、周辺地域の方に知られずに売却することは出来ます。
ただ、売却できる事実だけであれば、多くの不動産会社でも、ホームページなどに記載されています。しかし、そのホームページの多くに「市場価格より安くなる可能性」や「売却までの期間が長くなる」ことなどが併記されています。
では、周辺地域に知られない売却方法で、なおかつ、市場と変わらない成約金額を目指すことはできないのでしょうか。
今回は、広告活動が出来ない場合の「最高額」の目指し方についてわかりやすくご説明します。なお、一般市場に情報を出さないことをこの記事では「非公開(非公開物件)」と呼びます。
※今回の記事は、土地を売る場合の方法論です。
非公開物件が売却に不利とされる3つの理由
潜在的な購入者に情報が届きにくい
購入者は、新聞折込広告やインターネットから物件情報を取得します。中には、来店して探す方もいらっしゃいますが、現在は7割近くの購入者がインターネットからの情報取得を主としています。
もし、レインズ※やインターネットにも登録できない場合、「依頼した会社の既存顧客(不動産会社に登録している顧客)」と「来店したお客様」のみへのご紹介となり、潜在顧客(不動産会社と接点のない顧客)へは届かないことになります。
既存顧客から無理に購入者を見つける場合、値段交渉などの可能性が高くなり、結果的に相場より少し安い金額を提示される場合や、販売活動の長期化などが予期されます。
※レインズ登録の補足説明
レインズは、不動産会社のみが閲覧することのできる国土交通省が指定した不動産情報サイトです。各不動産会社は、購入希望者から物件紹介の依頼を受けた場合、レインズを利用し物件情報を取得し、顧客に提供します。もし、顧客への紹介以外、たとえばホームページへの登録や新聞折込広告への掲載を行う場合には、必ず売主側の不動産会社の許可・承諾を得なければなりません。
不動産会社による買取になることがある
不動産会社にも各社特徴があり、売主様が出会う不動産会社は大きく分けて、「不動産の仲介のみを行う会社」と「不動産の仲介と買取を行う会社」の2つの種類に分類されます。そして、仲介を通して知り合う会社に「不動産の買取専門の会社」が存在します。
不動産買取専門会社は、数多く存在し、規模も1人~1,000人以上の会社までさまざまです。仲介を行う会社は当然全ての買取専門会社と取引があるわけではないため、もし、レインズなどに登録できなければ、過去に取引した買取専門会社に物件の購入を打診することになります。(買取会社もレインズから物件情報を取得します。)
買取金額は、各社さまざまですが、得意でない分野の不動産や、精通していない地域では買取の金額が安くなりがちです。依頼した仲介会社の取引先に、非公開で売却したい物件を得意とする買取専門会社があれば良いのですが、担当者の経験値にも比例するところが大きく、相場よりも低い金額で取引されることが多くあるようです。
ちなみに、ひとことに不動産買取会社といっても、内容はさまざまです。土地を買い取り、新築物件を建築する会社や、投資として長期保有を念頭においている会社などが存在し、中には一般市場で売却するよりも高く買取るケースさえあります。
買取の場合は、周辺地域に情報を一切出さないため、秘密は守られますが、条件の良い買取専門会社を探す過程を十分に経なければ買取金額が市場より安くなる傾向にあります。
測量ができない
土地を売却する場合、売主様による測量、及び境界の明示は義務とされています。通常、法務局に有効な地積測量図などがない場合は、測量士による測量図の作製を依頼することになります。
測量における境界確定は、全ての隣接地所有者からの署名・捺印を頂く「境界確認書(筆界確認書)」を前提としています。測量士に依頼し、測量の理由を伏せることは出来ますが、隣接地所有者との接触を避けることはできません。
取引の一つの形態として、測量図を作製せず、登記されている面積で売買を行う取引(公簿売買といいます)は存在しますが、現在においては一般的なものではありません。購入者の立場から考えると、測量図の作製がなく、将来もし境界のことで隣接地とのトラブルになった場合の対抗要件がない不安定な状態で買い受けることとなります。
購入者にとって、未確定・不安定な条件は、購入価格にも影響を及ぼし、値段交渉の可能性を大きくします。
以上が、非公開物件が安いとされる理由です。
では、市場に情報公開を出来ない状況で、どのような販売活動を行えば相場と同等もしくは、少しでも高く売却できるのでしょうか。
販売活動の範囲が重要
前述の非公開が安いとされる理由を要約すると、『公開物件に比べて、情報が届く範囲が限定的である』ということになります。
つまり、『周辺地域に情報公開をせず、どれだけ物件情報を取得する人を増やすか』が重要になってきます。
ちなみに、不動産の売却において、不動産会社による販売活動は大きく分けて下記の通りです。
『不動産会社が行う市場への広告』
・自社ホームページやスーモなどの媒体への登録
・新聞折込広告
・周辺地域へのチラシ投函、DM送付
・顧客への直接紹介
・レインズ登録※※レインズ:不動産業者間の不動産情報サイト
これらの広告活動を組み合わせ、市場に情報公開されない効果的な販売方法を模索していきます。
レインズの活用
前章においてのレインズの説明で、レインズの情報は不動産会社のみしか取得できないことは記載しました。レインズに登録したとしても、知り合いに不動産会社の関係者がいない限り、周辺地域に売出し情報がわかることはありません。(もっとも不動産会社には守秘義務があるため、不動産会社から伝わることは考えずらいですが。)
レインズに登録することで、レインズの先にいる不動産会社の顧客にも直接情報提供をできることになります。
合わせて、レインズを利用している不動産買取専門の会社にも情報提供が出来る為、条件の良い購入申込みを得られる可能性は広がります。
顧客への直接紹介やレインズを通しての販売活動ができれば、情報を得られる顧客の数は大幅に増加し、市場相場と同額の成約価格を目指すこともできます。
ハウスメーカーへの紹介
最近では、土地の紹介を行うハウスメーカーも増えてきましたが、多くの会社では建物の設計・建築のみを扱っています。
このため、ハウスメーカーには建築プランが決まっているが、土地がない状況にある購入者が顧客として存在している可能性があります。
仲介をしている不動産会社に、ハウスメーカーへの情報提供や、住宅展示場へ出向いてもらうなどの依頼することも有効な手段です。
なお、ハウスメーカーが不動産情報を流通させることはなく、周辺地域に情報が広がる可能性はきわめて少ないと考えられます。
限定的な販売手法
新聞折込広告は、地域を限定することが難しいため、周辺地域への情報流出を避けることはできません。
一方で、ダイレクトメールやポスティングは、発送する側(不動産会社側)が地域を細かく指定することが出来ます。売却したい物件を購入できる顧客層を絞り、限定的にダイレクトメールやポスティングを行うことは効果的です。
類似物件の成約データを基に、不動産会社と営業範囲を決めた上で、複数回行うことをお勧め致します。
買取を希望する場合
では、限定的な販売手法も難しい場合で、不動産会社の買取を希望する場合は、どのような方法で売却を進めれば良いのでしょうか。
選択する媒介の種類
レインズ登録を行わない場合、媒介契約の種類は「一般媒介契約・非明示」を選択します。専属専任媒介契約や専任媒介契約は、不動産会社にレインズの登録義務がある為、今回のような場合は選択できません。詳しくは『3種類ある媒介契約 【基礎理解編】 | 選び方で不動産売却の成功を左右する?!』を参照ください。
複数社に依頼する
一般媒介契約は、複数社に依頼を出すことが可能な契約です。前述したとおり、1社のみに依頼すると買取専門会社の数が限られてしまうため、複数社に依頼することをお勧め致します。
ただ、多くの会社(5社や6社)に依頼することはお勧めできません。不動産業者内で、あまりに多くの重複した情報が出回り、真摯に検討をしてくれる買取会社が減少する可能性さえあります。
一概に言えるものではないのですが、3社程度が良いと思われます。
希望条件・期限を明確にしておく
ご自身で不動産の査定を事前に行っておくこと(参照:市街地にある自宅・実家の売却金額を、自分で査定する方法)をお勧めしておりますが、お時間が限られている場合は、買取の打診を不動産会社に依頼する前に、査定書の提出を依頼してください。
査定書の金額を基準に「売却の希望金額・条件・期限」をあらかじめ担当者に明確に伝えておきます。
レインズの登録もないため、仲介を依頼された会社は、すでに取引のある不動産買取会社へ金額・条件の打診を行います。期間は長い場合でも2カ月あればほとんどの条件は出揃うはずです。
金額だけでなく、条件も視野に入れて買主を決める
各社の条件が揃ったら(もしくは、決めた期限を迎えたら)、いよいよ買主の選定を行います。
買主を選定する場合は、金額だけでなく、条件も細かく確認します。特に、売買契約から残代金決済までの間に売主様が行う業務については注意深く確認してください。主な内容を下記に記載しておきます。
『注意深く確認する条件』
・測量図の作製:約50~90万円、隣接地の承諾が得られない場合は契約が解除になる可能性あり。
・建物の解体:約1坪あたり5~7万円(木造の場合)
・越境物の解消:隣接地からの樋や屋根の越境に注意
・私道の場合、通行・掘削の承諾:簡易的な説明をすれば、「私道を徒歩・車で通ること、及び給排水管の工事の為に道路を掘ること」の承諾
など
ひとつひとつ売主様に費用や期間を要する事項の為、金額がいくら高い場合でも不可能な条件のもと契約を進めないよう、気を付けてください。
まとめ
周辺地域に売り出し情報を出さずに売却する方法について、イメージ出来ましたでしょうか。
不動産の情報は噂で回りやすいもののひとつです。誰にも知られずに売却する場合は、信頼できる不動産会社に依頼するように心がけてください。
ちなみに、買取専門会社の査定を一括で依頼できるインターネットサイトも存在しますが、登録されている会社がまだまだ限定的です。現状は、仲介を行う会社を通して、買取専門の会社に打診を行うほうが良いと考えられます。
今回も最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。
ご不明点等はお気軽にお問合せください。
この記事を書いた人
- 山﨑 紘靖
- 過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。
お問合せから第二の人生が始まります。
相談は無料です。ご依頼お待ちしています。
-
- お電話でのお問い合わせ
- 03-6450-7073
-
- FAXでのお問い合わせ
- 03-6450-7138