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成功する不動産売却の流れを9ステップで徹…

成功する不動産売却の流れを9ステップで徹底解説!売却開始前が成功のカギとなる。

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成功する不動産売却の流れを9ステップで徹底解説!売却開始前が成功のカギとなる。

あなたは正しい不動産売却の流れを理解したうえで、不動産売却を進めているでしょうか?あるいは、その流れの中にある各工程の重要性を理解しているでしょうか?

不動産売却の流れは、どのような不動産であれある程度を決まっていて、弊社も含めてほとんど全ての不動産会社が同じ流れで不動産売却を進めていきます。実際に、不動産売却を始める前にあなたを担当する不動産会社の担当者は、大まかな流れの説明を行ってくれるはずです。

しかし、実は不動産売却の流れの中にこそ、あなたの不動産の価値を決定づける重要な要因が含まれています。大まかにいえば同じ流れで売却した不動産であっても、あなたが満足する条件で不動産を売却するためには、その工程の細部までこだわり、計画を立てなければなりません。

なぜなら、それまで長い期間売却できていなかった不動産の売却の流れを再検討し、市場に営業活動を行ったところ、短期間で満足いく売却が出来た事例が実際に多く存在するからです。

ここでは、不動産売却の流れを9つのステップに分けて説明をするとともに、各ステップにおいて重要視しなければならないことを詳しくお伝えします。

この記事を読み終えて頂ければ、不動産売却の流れが理解できるだけでなく、あなたが不動産を満足して売却するためにどのような計画を立てればよいか、どのような不動産会社の担当者に依頼すれば条件良く売却できるかがわかり、不動産売却の最初のステップを安心して踏み出せるようになります。

 

では、不動産売却の流れの全体像からご説明します。

不動産の売却は9つのステップで進める

不動産売却の全体の流れは次の通りです。

不動産売却の流れ

この不動産売却における9ステップはほとんど全ての不動産に当てはまります。実際に不動産会社からご説明を受けた方も多いかと思います。

各項目を説明をする前に、効果的な不動産売却の流れを実現するために、「売却に成功する不動産」と「なかなか売却できない不動産」の要因の違いについて見ておきましょう。

不動産売却に成功する要因・失敗する要因を確認しよう。

同じ流れに沿って不動産売却を計画し、実行したとしても、「売却に成功する不動産」と「なかなか売却できない不動産」が存在します。

弊社でご相談頂く多くの事例を基に検証した結果、「なかなか売却できない不動産」については、共通して下記要因があげられることがわかっています。

  • 市場相場に対して、売出金額が高すぎる。
  • 建物や間取りが特殊、又は土地形状が複雑や大きすぎるなどの理由で、買主のニーズに適合しない。
  • どのような購入者層にアピールするか明確化されていない。
  • 担当の不動産会社が効果的な営業活動を行えていない。若しくは、知識経験不足。

 

上記以外にも細かい個別要因は存在するものの、大別するとこれらの要因が含まれていることが圧倒的に多いと考えられます。

次に「売却に成功する不動産」に共通する要因をあげると下記のようになります。

  • 市場相場の先を予測して価格設定がなされている。
  • 買主のニーズに合わない形状の不動産を買主のニーズに合うように工夫して販売している。
  • 買主のペルソナ(理想像)設定が明確になされている。
  • 不動産会社の担当者がペルソナに対して、効果的な販売活動を行っている。

※ペルソナについては後程説明します。

 

上記で述べたような売却に成功する要因を不動産売却の流れの中に組み込めれば、あなたは満足した条件で不動産売却を進められる可能性が高くなります。

では、不動産売却に成功する要因を踏まえた不動産売却の流れを説明します。

1. 売却する目安の金額を探ろう

不動産の売却の第1歩は、売却する不動産の金額を自身で探ることから始まります。その理由は次の通りです。

  • 売却できる金額の目安が立てられれば、住替え先の検討も具体的にできる。
  • 実際に不動産会社が提出してきた金額が、高いのか安いのか判断ができるようになる。
  • 該当地域で流通性の高い価格帯や不動産の種類がわかる。
  • 人工知能の査定を利用すれば、手軽に査定価格が把握できる。

つまり、不動産の売却金額はいくらぐらいが相場なのか、あなたの不動産は流通性が高いのか、解決すべき問題点はあるか、などが明確に把握することが可能です。

 

1-1. 売却目安を確認する方法

不動産の査定する場合、取引データなどを基に自分で算出する方法もあるが、現在は人工知能による査定を簡単にWEBで行うことが可能です。

以前は、人工知能の査定と不動産会社の査定額が大きくずれることがありましたが、現在は価格乖離が少なく信用できる情報源となっています。

弊社では、次の4つの価格査定システムを推奨しています。

全て簡易的な会員登録を必要とするが、無料で利用できるうえに、比較的正確なデータが手に入ります。なお、戸建の査定を希望されている場合、上記システムの中では、ハウマでしか算出できないのでご注意下さい。

土地や戸建の査定を希望される方で、より正確な査定額を自身で計算した場合は、こちらの記事を参照してください。

著者も自分自身で居住しているマンションで人工知能の査定を試し、自分自身で査定を行った結果と比較しましたが、査定結果は近しいものになりました。

査定額の把握と同時に、スーモやホームズを利用し、周辺で自分の不動産に類似した売出事例を確認し、価格帯や条件などを把握しておきましょう。

 

売却の目安金額が大まかに把握できたら、次は実際に不動産会社に売却の相談をしましょう。

2. 不動産会社に相談する:自分に合った担当者を探す。

不動産会社に相談する目的は、あなたの為に誠心誠意不動産売却を行ってくれる担当者を探すことです。

現在の不動産売却は、国土交通省が指定をした不動産流通機構が運営するレインズをはじめ、インターネット化が浸透しています。大手や地元の不動産会社の枠にとらわれずに、あなたの不動産を責任をもって売却してくれる担当者探しに焦点をあてることが、不動産売却成功の鍵となります。少なくとも3社~5社の担当者に相談するようにしましょう。

※レインズについては、4章で説明します。

 

2-1. 不動産会社の探し方

不動産会社の探し方は次の通りです。あなたの不動産売却に真摯に向き合ってくれる担当者を探すために、出来るだけ多くの情報を集めるようにしてください。

可能であれば、上記のうち2つ以上の方法を利用して探しましょう。では、ひとつひとつ説明します。

2-1-1.一括査定サイトを利用して不動産会社を探す。

不動産売却の一括査定サイトは30サイト以上存在しますが、弊社では、大手だけでなく、中小の会社も探したいのであれば、HOME4Uを、大手限定で探したのであれば、すまいValueを推薦しています。

あなたの不動産の情報をお問合せフォーマットに沿って送信するだけで、複数社に査定を依頼できる便利なサービスです(基本的に無料で利用できる)。

一方で、不動産会社にとっては競合していることがわかっている為、あえて高い査定額を提示するケースなどもあるため、注意が必要です。

また、一部の大手を含め、一括査定に加わっていない不動産会社も多く、出会える担当者に偏りが生じてしまうかもしれません。

2-1-2.ポータルサイトを利用して不動産会社を探す。

スーモやホームズには、不動産会社を探す機能が備わっています。不動産会社の評判も口コミという形で表示されている為、安心して任せられる不動産会社を探せる利点があります。

一方で、ポータルサイトには賃貸をメインとして扱う会社の登録がとても多く、売却に強い会社を探すまでに多くの会社のページを確認する必要があります。

2-1-3.各社のホームページを見て探す。

まずは、インターネットの検索に、売却したい不動産が存在する「地域名」と「不動産売却」というキーワードを入力してみましょう。

一括査定やポータルサイトで出会えなかったその地域の不動産売却に強い不動産会社が上位に表示される可能性があります。なお、上部に掲載されている広告はほとんどが一括査定サイトにつながってしまうので、除外して確認します。

たとえば、「 不動産売却 下北沢 」と検索してみると次のような検索結果が表示される。

検索ページ

大手以外のピタットハウス下北沢店様と弊社は、一括査定サイトやポータルサイトでは出会うことが出来ない不動産会社です。

その他に、「地域名 マンション売却」や「地域名 土地売却」などを検索してみることも有効です。

※広告以外の検索順位については、Googleのアルゴリズムがその分野の専門性が高いサイトを抽出し、順位付けされている。

2-1-4.悩んでいることを解決してくれる専門家を探す。

あなたが、住宅ローンが払えずに悩んでいる場合や所有不動産が再建築できないなどの場合は、一括査定サイトなどで出会える不動産会社では対応できない可能性があります。離婚・相続などの場合も同様です。

不動産売却に専門性が必要になる場合には、「悩んでいるキーワード 不動産売却」などの検索をして不動産会社を探しましょう。専門性の高い案件を扱う不動産会社の場合、ホームページ内にブログ(記事)などで解説を行っていることが多く、そのブログを読み、納得した会社に相談してみると良い結果が得られることが多くあります。

 

不動産会社に相談し、信頼できそうな会社を2~3社選定したら、実際に不動産を見てもらう訪問査定を依頼します。

2-2. 現地調査と役所調査を行ってもらう。

不動産会社に相談を電話やメールで行い、信用できそうな担当者が見つかったら、実際に不動産の現地を見てもらい、役所関係(役所・法務局・水道・下水など)の調査を依頼しましょう。

多くの場合、この段階で初めて各社の担当者に会うことになります。

担当者には、あなたの希望条件や住替えのプランなどを細かく伝えましょう。担当者は、あなたから聞いた条件をもとに不動産売却のプランを考えるため、時期なども細かく伝えるほど、正確な売却計画を立てやすくなります。

売却する不動産については、訪問査定までに次の資料を準備するようにしましょう。(手元にあるもののみで問題ありません。)

査定時準備書類

登記簿謄本や公図などの法務局で取得できるものは、不動産会社にて取得し準備してもらえるはずなので、あなたが準備する必要はありません。

上記表に記載した内容は、あなたしか所有していないものが多く、不動産査定に大きく役立つものの為、お手元にある書類等はなるべく多く提示するようにしましょう。

 

訪問査定の最後に必ず不動産の査定書の作成を依頼してください。口頭だけでの説明や売却計画の場合、後々不動産会社との行き違いが生じる原因となるため、書面で説明を受けるようにしましょう。

3. 不動産会社から査定書を受取る:売却計画も確認する。

訪問査定からおおよそ1週間以内に不動産会社は査定書を作成し、提出します。

査定書を受け取る際も、可能な限り直接担当者と対面で説明を受ける時間を設けるようにしましょう。査定書を受け取った際の注意点は次の通りです。

  • 査定金額が根拠に基づいた計算により算出されている。
  • 購入者の需要なども説明してくれる。
  • 査定金額で売却した場合の費用なども詳しく記載されている。

ひとつひとつ説明します。

3-1. 査定金額が根拠に基づいた計算により算出されている。

査定金額の根拠提示は宅地建物取引業法で規定されている義務です。

宅地建物取引業者は、前項第2号(依頼価額のこと)の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

出典:宅地建物業法34条

この根拠の提示とは、周辺で取引された実際の取引事例を指していると解釈されています。

 

実際に、ほとんどの不動産の査定には、取引事例比較法を利用します。(収益不動産などの場合は、収益還元法かDCF法を利用)

取引事例比較法とは、対象不動産と条件が近い取引事例を収集し、適切な比較対象事例を選択のうえ、必要に応じて個別補正を行う不動産価格の算出方法です。

取引事例比較法は、適切な取引事例を選択しているかどうかが重要となります。収集した取引事例からなぜ査定書の事例を選択したかなどを確認するようにしましょう。

取引事例比較法で順序立てて説明するためには、査定書が複数ページに亘ることが通常です。厳しいようですが、1枚の簡易的な査定書しか用意していない担当者は、あなたの不動産売却に対して真摯に向き合っているとは言い難いかもしれません。

3-2. 購入者の需要なども説明してくれる。

数多くの取引データを確認している担当者は、購入者の需要も研究していることが多いと考えられます。

対象地域で、どのような不動産が売れているのか。どの価格帯の流通性が高いのか。購入者の属性はなど、言い換えれば、あなたの不動産を売却するために、購入者の視点に立って分析をしてくれます。

実は、新聞などのメディアで報道されている不動産の値上がりや値崩れは、最前線の不動産会社の担当者からすれば、数カ月前から予測していた内容であることが多いように思います。

最新の購入者の需要なども踏まえて、価格設定を行ってくれる担当者に出会えれば、あなたの不動産売却は成功に近づけます。

3-3. 査定金額で売却した場合の費用なども詳しく教えてくれる。

不動産を売却する場合、不動産会社に支払う仲介手数料以外にも、諸々の諸費用が必要になります。不動産売却時に必要な経費は次の通りです。

残代金の計算式

特に税金については、あなたの状況によって数百万円単位で支払う必要がありますので、必ず販売活動を開始する前に確認するようにしましょう。

不動産売却に知識が深い担当者であれば、あなたに有利な税金控除なども詳しく教えてくれるはずです。

諸費用や税金については、是非、次の2つの記事を事前にご確認ください。

 

4. 不動産会社と媒介契約を締結する。

さて、いままでのステップで信頼できる担当者を見つけることが出来たら(売却活動の方針が決まったら)、不動産会社と媒介契約(ばいかいけいやく)を締結します。

あまり聞きなれない単語ですが、わかりやすく説明すると、媒介契約とは「不動産会社に不動産の売却を依頼する契約」と理解頂いて差支えありません。

ここから、実際にあなたの不動産が市場に売りに出される段階に入ります。不動産会社に任せっきりにならないように注意深く進めていきましょう。

4-1. 媒介契約には、3種類ある。それぞれの違いを理解しよう!

媒介契約には、次の3種類の契約形態があります。

媒介契約書の種類

上記のように媒介契約には、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約(明示型・非明示型)の種類があり、どの媒介契約を不動産会社と締結するかは、あなたが決めることができます。媒介契約の期間は、上限で3ヶ月です。3ヶ月以内であれば、期間も任意で決定することができます。

媒介契約の説明に入る前に、レインズについて説明します。

レインズとは?

レインズとは、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営する「不動産流通標準情報システム」の略称で、基本的には全ての不動産会社が利用することができます。

次の図に様に、あなたが不動産の売却を希望する場合、媒介契約締結後、不動産会社はあなたの不動産情報と販売図面をレインズに登録し、他の不動産会社を通して幅広く買主を検索することが出来ます。

レインズイメージ

もちろん、媒介契約を締結した不動産会社は、自社でも購入者を探すべく、販売活動を行いますが、レインズを利用すればより多くの購入希望者に物件情報を届けることが可能になります。

国も不動産の流通性を効率化する目的で、専属専任売却契約・専任媒介契約を取得した不動産会社に対して、レインズへの登録を義務づけています。

レインズの仕組みをご理解頂きましたところで、ひとつひとつの媒介契約の説明に移ります。

4-1-1. 専属専任媒介契約とは?

専属専任媒介契約を不動産会社と締結した場合、あなたはその他の不動産会社とは媒介契約を締結することは出来ません。1社限定の媒介契約となります。

全ての媒介契約の中で、不動産会社からの報告義務がもっとも多い、1週間に1回以上と定められているため、売主は販売状況の進捗をより細かく知ることができます。又、1社限定ということもあり、不動産会社もあなたの不動産の為に多くの広告予算を設けてくれます(予算は不動産会社により、まちまち)。

レインズへの登録も、5営業日(不動産会社の営業日)以内に定められているため、他社の顧客である購入者層にも、物件情報を届けることできます。

一方で、この媒介契約は自己発見取引の場合も、媒介契約をした不動産会社を仲介として立てなければならず、他の媒介契約に比べてあなたの自由度は低くなります。

※自己発見取引とは:あなた自身が見つけてきた買主と売買契約を行うこと。例えば、友人にあなたの自宅を売るなど。

 

4-1-2. 専任媒介契約とは?

専任媒介契約も専属専任媒介契約と同様に、1社限定の媒介契約となります。

 

専任媒介契約の不動産会社の報告義務は、2週間に1回以上と専属専任媒介契約よりは頻度が減るものの、1社限定ということは変わりないため、不動産会社は多くの広告予算をあなたの不動産の為に設けてくれます(予算は不動産会社により、まちまち)。

 

レインズへの登録も、7営業日(不動産会社の営業日)以内に定められているため、専属専任同様に他社の顧客である購入者層にも、物件情報を届けることできます。

 

また、専任媒介契約では、自己発見取引を禁止していない為、あなた自身で買主を見つけた場合、媒介契約をした不動産会社を通さないでも売買契約を行うことは可能です。

 

但し、不動産会社を介さない売買契約はトラブルが多い為、仲介手数料の減額なども交渉し、不動産会社に書類作成などの業務を依頼するようにしましょう。

 

4-1-3. 一般媒介契約(明示型・非明示型)とは?

一般媒介契約は、複数社に売却依頼を行うことが可能です。媒介契約の中では、もっとも売主の成約が少ないと言えます。

 

一般媒介契約には、明示型と非明示型の2種類があり、非明示型を選択した場合、不動産会社のレインズ登録義務はありません。レインズ自体、不動産会社しか見ることのできない情報ですが、非明示型を選べば、依頼した不動産会社以外、売却の情報を知り得ない状況となります。

 

この媒介契約には、不動産会社の報告義務はなく、売主と不動産会社の関係は希薄になりがちです。(一般媒介契約でも、報告を行っている不動産会社は一部存在します。)又、専属専任や専任と異なり、不動産会社側としては、広告費を多くかけても自社で成約する確実性は薄くなるため、予算を大きく設けることは少なくなるでしょう(不動産会社により、まちまちです)。

4-2. 媒介契約はどの種類を選べば良いか?

3種類ある媒介契約ですが、一体どの種類を選択すればあなたの不動産にとってもっとも効果的な販売活動ができるのでしょうか?

状況別に弊社の意見を説明します。

4-2-1. 基本的には、専属専任か専任媒介契約が望ましい。

いままで説明したステップを行っているあなたは、信頼できる担当者を見つけているはずです。おそらく、その担当者もあなたの不動産を細かく調査し、隅々まで把握している段階かと考えられます。

弊社では、売主と担当者との信頼関係がある場合には、基本的に専属専任か専任媒介契約を締結することが望ましいと考えています。

売主の窓口はその不動産会社1社になりますが、レインズなどを効率的に利用し、幅広い情報を市場に浸透させることが可能です。また、広告予算も多く設定してもらえることが多く、新聞折込広告などの販売活動も積極的に展開してくれます。

不動産会社によっては、専属専任か専任媒介契約限定で受けられる特典もあるようです。

担当者が責任を以って対応してくれる会社を選べれば、あなたも安心して不動産売却を進めることが出来ます。

4-2-2. 専門性が高い物件や任意売却は、専属専任か専任媒介契約を締結。

相続や離婚、債務超過などの理由で不動産を売却する場合で、仲介する不動産会社にも知識の専門性が求められるときは、専門知識を持った担当者の不動産会社と専属専任か専任媒介契約を締結しましょう。

会社の規模に拘わらず、担当者の知識や経験は千差万別です。それに対し、不動産売却には法律的な知識が多く求められます。

あなたの悩みを解決してくれる担当者を見つけられたら、その担当者に不動産売却を依頼し、パートナーとして問題解決を図るようにしましょう。

もし、あなたが任意売却を検討しているのであれば、まずは、住宅ローンが払えない!競売を避け任意売却を行う時の流れを徹底解説をご覧ください。

4-2-3. 需要が高いマンションなどは一般媒介契約も検討する。

あなたの所有しているマンションが、好立地であったり、地域を代表するマンションであり、販売活動もそれほど長期化しないことが望める場合は、一般媒介契約が良いと考えられます。

マンションの場合、土地や戸建に比べて仲介会社に求められる不動産知識は少なく、一方でより広く・より速い積極的な販売活動が求められることが多いように考えられます。

確実に売却できる人気の高いマンションで、短期の販売活動であれば不動産会社も各社積極的に動いてくれることが期待できます。ただし、あまり多くの不動産会社に依頼するのではなく、多くとも3社程度の依頼にとどめておきましょう。多くの情報が市場に出ることで物件情報の陳腐化が起こりえます。

 

最初に一般媒介契約を締結したものの、なかなか売却出来ずに、その後戦略を練り、専任媒介契約に移行したら売却が成功したなどの事例もあるため、媒介契約の種類は慎重に選びましょう。

媒介契約の説明の最後に注意点を説明します。実際に、多くの物件が該当していた時期もあるため、このまま読み進めて下さい。

4-3. 物件の「囲い込み」に要注意

最近、売主と専属専任媒介契約・専任媒介契約を締結した大手不動産会社が、常習的に物件の囲い込みを行っている実態が問題となりました。

 

囲い込みとは、売主側の不動産会社が、登録義務があるレインズには物件を登録するものの、購入者がいる他の不動産会社から問い合わせがあっても、「もう購入希望者がいる」や「売主都合で現在案内できない」などと偽り、他社の顧客にはその不動産を購入出来なくする行為を指します。

 

売主側の不動産会社は、自社で購入者を見つけることができれば、売主からも買主からも仲介手数料が取得できる為、故意に囲い込みを行う行為が横行していました。

 

レインズも囲い込み対策として、売主に、売却物件の情報がどのようにレインズに掲載されているかを確認できる手段を用意しています。最近では以前に比べて囲い込みが減ってきた印象はありますが、根絶とまでは至っていない状況です。

 

売主におかれては、囲い込みを行われると、販売期間が長期化するだけでなく、成約金額も故意に下げられてしまう可能性さえあります。

 

専属専任や専任媒介契約を締結した場合は、その不動産会社からレインズの登録証明書を必ず受取り、登録証明書の最下部に記載されているあなた専用のURLから、きちんとレインズ登録がなされているかを確認するようにしましょう。

 

不動産情報は掲載されているものの、物件図面等がない場合は囲い込みをされている可能性があるため、不動産会社になぜ図面登録がないかなどを確認するようにしてください。

5. 不動産売却活動を行う:ペルソナを意識して最高額を目指そう!

媒介契約を締結したら、いよいよ販売活動が開始され、あなたの不動産情報が市場に売却物件として公開されます。

弊社では、販売活動は、あなたの不動産をもっとも必要としてくれる買主を探す活動と位置付けており、売主にとって最高の買主を見つけるために様々な販売計画を物件ごとに構築し、実践しています。

この記事でも、弊社が幾度と実践し、効果が高かった方法の全てをご紹介します。弊社の手法の説明の前に、実際に販売活動が始まる前段階で行うべき基本準備について説明します。

5-1. 販売活動を行う前に準備しておくこと。

販売活動では、売買契約に至るまで複数組のお客様があなたの不動産を見に来ます。ご案内で来たお客様に好印象を以ってもらうために行うべき準備は次の通りです。

 

  • 室内の整理整頓
  • 行き届いた掃除
  • 部分的な補修
  • 測量(仮測量)、境界の明示

 

ひとつひとつ説明します。

5-1-1. 室内の整理整頓しましょう。

マンションや戸建などを売却する場合(土地としての売却以外)、お客様は室内の隅々まで確認を行います。具体的に購入をお考えのお客様であればあるほど、クローゼットや床下収納などの細かい部分まで確認を望まれる傾向が強くなります。

居住中のまま、不動産を売却する場合であっても、不要な物品は処分し、整理整頓を隅々まで心がけてください。(ものが多すぎて見れない部屋や収納はNGです。)

印象が良く、清潔感があり、お客様にこの家に住みたい!と思ってもらえる物件は、値段交渉も少なく売却できる可能性があがります。一方で、見えない部屋や収納などがあり、お客様に追加でリフォームを行う必要があると思われてしまう物件は値段交渉が多く入る可能性が上がってしまいます。

5-1-2. 行き届いた掃除を行いましょう。

基本的には、室内の全ての箇所を清掃することが望ましいのですが、特に入念に掃除を行ってほしい箇所は次の通りです。

  • 玄関
  • 台所(シンク・コンロ・レンジフード)
  • 風呂
  • 洗面所
  • トイレ
  • 窓ガラス

室内のこれらの箇所がきれいに清潔感あふれる掃除がしてあれば、ご案内したお客様に、丁寧に建物を使用している印象を与えることができます。汚れが特にひどい場合は、部分的にハウスクリーニング業者を利用しましょう。

5-1-3. 部分的な補修を行う

しばしば、売却前にクロスなどをリフォームしたほうが良いか?という質問も頂きますが、どのような趣味嗜好を持つ買主が購入するかわからない段階では、基本的にリフォームを行うことはお勧めいたしません。

ただし、特に汚れがひどいクロスや建具のガラスのひび、壁・建具の穴などは部分的に補修をしておきましょう。特に、マンションの場合、機密性が高いという構造上、北側洋室のクロスなどにカビが発生しやすい傾向にあります。壁1面だけでもクロスを張り替えカビをなくすだけで、お客様の印象は大きく変わります。

5-1-4. 測量を早い段階で開始する【重要】

土地や戸建を売却する場合、売主は買主に対して境界の明示義務を負います。特に都心部においては、1mmの境界のずれについても裁判が行われるほど、土地境界は重要な項目です。

基本的には、販売活動を始めるタイミングで同時に測量を開始します。測量の金額は、会社により大きく変わりますが、おおよそ40万円~70万円が一般的な金額となります。

不動産売買における測量とは、対象不動産の面積を図るだけでなく、境界について隣接地(道路所有者を含む)の立会いと確認書類(境界確認書)への署名・捺印が必要となるため、期間としてはおおよそ2ヵ月~3ヵ月を要します。

売買契約書にも、売主は不動産を引き渡すまでに買主に境界を明示する義務が明記されているため、早めに測量業務を開始するようにしましょう。

 

販売活動の準備についてご理解を深めて頂きましたら、販売計画の説明をします。あなたの不動産をもっとも必要とする買主を見つけるために重要な項目のため、このまま読み進めてください。

5-2. ペルソナを利用し、最高の買主を見つけよう。

ただ、広く広告を行っていても、潜在的な購入者にはなかなか出会うことは出来ません。需要が少ない地域になればなるほど、その傾向は顕著になっていきます。

では、あなたの不動産に対して最高の買主を見つけるためには、どのような販売活動を行えば良いのでしょうか?

弊社では、その不動産にとって最高の買主の理想像(ペルソナ)を作成し、その方に情報が効率的に届くように売却活動を行っています。その手順は次の通りです。

  1. 理想の買主のデモグラフィックを作成する。
  2. 理想の買主のペルソナを作成する。
  3. ペルソナ設定した人物にとって最高の情報を模索する。
  4. その人物像に販売活動を行う。

ペルソナを利用した販売活動の成功例を実例に、ひとつひとつ説明します。

ペルソナを利用した成功例の実例紹介

成功例

このマンション取引事例は、大手不動産会社で半年間の販売活動を行ったものの、具体的な案内もなく、成約の兆しが見えなかった中、販売活動を行う仲介会社を弊社に変更し、ペルソナを利用した活動を行ったところ、2ヵ月で成約に至った成功例です。(以下、「成功事例」という)

この事例を利用し、販売計画及び活動について説明します。

5-2-1. 買主のデモグラフィックを作成する。

デモグラフィックとは、マーケティング用語で、性別、年齢、居住地域、収入、職業、学歴など、その人のもつ人口統計学的属性を表します。

成功事例で設定したデモグラフィックは次の通りです。

性別 男性
年齢 40代後半から50代前半
収入 年収800万円
職業 中堅以上の企業のサラリーマン(役職有)
家族構成 妻、子供1人
勤務地 港区もしくは渋谷区

デモグラフィックの設定は、あなたの単なる理想ではなく、あなたの不動産に興味を持ち、購入ができる資金力を持つ、具体的な人物を考え設定します。実在しないデモグラフィックを作成しても意味をなしません。

5-2-2. ペルソナの作成をしよう。

次にデモグラフィックに対して、ペルソナの作成を行います。ペルソナとは、マーケティング用語で、サービスや商品の典型的なユーザー像のことです。より、ペルソナを具体的にする為、あたかもその人物が存在しているかのような状態までペルソナを作成します。

成功事例に設定したペルソナは次の通りです。

30代のころに、転職も行ったが、現在の会社には満足しており、仕事に対する使命感も感じている。

 

40代になり、社内でも管理職に昇格し、収入も安定してきたことから、自宅の購入を考え始めた。子供も来年から小学生になり、妻も時間ができることから派遣の仕事を始める気持ちがあるらしい。

 

現在の年収と将来に向けての貯蓄を考えると、子供は公立の小学校に行かせようと考えていたこと、もし妻が仕事に出た場合、もしもの時に子供の世話をしてくれる心強い人が近くにいることなどを条件に購入地域を絞ったところ、自分の実家まで近く、教育には定評がある浜田山小学校がある浜田山周辺で購入しよう決めた。

 

銀行に住宅ローンの相談を行ったところ、今後のライフプランも考え6,500万円までの予算が組めることが分かった。

 

インターネット検索や不動産会社に相談を行ったところ、パークコート浜田山というマンションの紹介を受けた。

 

ここまでペルソナ設定ができれば、この人物が満足する情報が明確になります。実際にこのマンションを購入された方は、このペルソナに非常に近い人物でした。

明確化されたペルソナをもとに、この人物像にとって最高の情報を模索します。

5-2-3. ペルソナが満足する最高の情報とは?

今までの工程でペルソナを明確化したら、ペルソナにとって最高の情報を模索しよう。成功事例に設定した情報は次の通りです。

  • 金額:6,500万円以内
  • 子供部屋が設けられる
  • 浜田山小学校の学区内
  • 通勤の為に利用する駅が近い
  • 実家からも来訪しやすい

次に、この情報を効率的に購入者に届けられる販売活動の方法を決定します。

5-2-4. ペルソナの人物像に情報を届ける販売活動を行う。

この人物像にどのように不動産の情報を届けるかは、ペルソナにとっての最高の情報をもとに考えます。成功事例で弊社が行った販売活動は次の通りです。

  • 浜田山駅を含む前後1駅の不動産会社に情報の説明をし、顧客への紹介をお願いする。(実際、30社ほど訪問。)
  • 浜田山周辺に大々的な新聞折込広告を行い、実家にも情報が届くように手配する。
  • 不動産の魅力に共感してくれた不動産会社にも広告活動を承諾する。
  • 案内の際には、駅や小学校までの道のりなど周辺環境を詳細に説明する。

上記活動を2カ月間続け、最高の買主を見つけるに至ることができました。

ここまで読まれて本当にそのような方法がうまくいくか懐疑的に思われる読者もいるかもしれないが、実際に弊社ではこの方法で多くの成約を生んでいます。

もし、なかなか不動産が売れずにお困りの方がいたら、是非この方法を試してみてください。特に、ただインターネットに情報を載せ、やみくもに販売活動を行っている場合には有効に働くはずです。

また、ペルソナを設定する際には、買主を個人に設定する必要は全くありません。その不動産を本当に必要とする購入者は、法人かもしれませんし、不動産会社かもしれません。個人に売却したほうが不動産が高く売却できるということはありません。

 

6.買主との条件交渉:あなたにとって理想の買主か確認しよう!

販売活動を通して、具体的な購入者が見つかったら、あなたは購入希望者から購入申込書を受け取ります。

中古の不動産の場合、価格や条件について交渉が入ることが多いため、ここでは買主との条件交渉における重要な項目について説明をします。購入希望者が5章で設定したペルソナに近い人物であれば、あなたにとって最高の買主である可能性が高い為、交渉決裂にならないように慎重に進めていきましょう。

条件交渉で重要な事項は次の通りです。

  • 購入者の希望金額
  • 不動産の引渡し時期
  • 売買契約時の手付金の額
  • 住宅ローンの審査

ひとつひとつ説明します。

6-1. 購入希望者の希望金額

購入希望者から受け取る購入申込書に記載されている希望金額は、販売金額よりも低く交渉されることが多くあります。

相場よりも安く購入できれば購入するという類の購入者はお断りするべきですが、ペルソナに近い購入者が価格交渉してくる場合には、価格交渉の理由を慎重に吟味しましょう。

たとえば、ペルソナに設定した購入者の予算は6,500万円です。もし、販売金額が6,480万円の場合、購入に係る諸費用や簡易的なリフォームを行うと数百万円予算オーバーに陥てしまいます。

購入者がペルソナに近い場合は、交渉にも柔軟に応じる必要があります。購入動機なども加味し、判断するようにしましょう。

6-2. 不動産の引渡し時期

売却する不動産に居住中の場合、引っ越し先の決定などもあるため、できるだけ長い時間が必要になります。

一般的な居住中の不動産の引渡し時期は、売買契約から2~3ヵ月前後です。

買主の購入希望金額を承諾する代わりに、引渡し条件をあなたに合わせてもらうなどの交渉を不動産仲介会社を通して上手に行いましょう。

6-3. 売買契約の手付金の額

売買契約の手付金の額は、売買金額のおおよそ5%~10%の額に設定するようにしましょう。

売買契約の手付金は、売買契約を売主・買主いずれかの恣意的(自己の理由で)に解除する際の違約金の額にもなりえます。

手付金が低すぎると、せっかく売買契約に至っても簡単に解約されてしまう可能性が高まる為、5%以上に設定するようにしましょう。

6-4.住宅ローンの審査

売買契約締結を行う前に、必ず買主に銀行の住宅ローン事前審査を受けてもらい、銀行からの事前承認を得るようにしましょう。

買主の住宅ローンの本審査は、売買契約締結後行うものの、事前審査を通過していれば99%本審査で不承認になることはないそうです。(都市銀行担当者から聴取。)

売買契約が買主の住宅ローン不承認で解除になるリスクを低くするため、事前審査を買主には早めに行ってもらうように伝えましょう。

 

あなたと買主とが、価格・条件に合意をしたら、売買契約に進みます。売買契約を締結してしまうと、基本的には契約を勝手に解除することはできません。注意事項を説明しますので、このまま読み進めて下さい。

7.売買契約の締結:トラブルに発展しないよう細部まで確認しよう。

不動産における売買契約とは、売主が買主から代金を受領する代わりに、不動産の所有権を買主に移転する契約を指します。

不動産売買契約は、日常的に物品を購入する売買契約と同じ売買契約ですが、その内容は複雑です。そのため、民法上は売主・買主の合意があれば、基本的に任意の内容で売買契約を締結することが出来ますが、トラブルが発生する為、不動産会社が売買契約書を作成し、説明を行ったうえで、売主・買主間での売買契約を締結します。

7-1. 売買契約の流れ

売主における売買契約の流れは次の通りです。

売買契約の流れ

ひとつひとつ説明します。

7-1-2. 売買契約の必要書類

売主であるあなたが、売買契約までに準備する書類は、次の通りです。

売買契約必要書類

収入印紙代は売買金額により金額が次の通り異なります。

印紙税

7-1-2. 宅地建物取引士による重要事項説明書

重要事項説明書は、宅地建物取引士が宅建業法に則り、売買する不動産の詳細について書面で説明する書類です。重要事項説明書は主に不動産を購入する買主に対して行われるものですが、その内容は年々詳細な部分まで記載する傾向が強まっており、書面のなかには日常生活に係る部分まで記載がなされています(ゴミ置き場の位置や強風により砂埃が発生することなど)。

重要事項説明書で説明していないことや説明が足りていなかったことについては、後々トラブルにつながる可能性があるため、重要事項説明は売主においても説明を買主と同時に確認し、気が付いた点等があれば、買主に追加で説明するようにしましょう

参考に、土地・建物の売買交換用の重要事項説明書のひな型を添付します。

重要事項説明書(見本)出典:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会

7-1-3. 売買契約書の説明

重要事項説明書と同様に、売買契約書の内容も年々詳細な内容まで記載するようになっています。売主・買主に直接関係する条項のため、担当者(宅地建物取引士でなくても良い)の説明をよく聞き、理解できない部分があれば、迷わずわかるまで質問を行いましょう。

特に、売買契約書に記載されている特約事項は、その不動産売買に合わせた個別の内容が記載されている重要な部分です。不動産の引渡までに売主が行わなければいけないこと、買主が行うべきことなどの記載や、買主の容認事項などが含まれています。

平成29年6月2日に公布された改正民法(平成32年までに実施される)では、「当事者の具体的合意は、取引通念よりも優先する」とされています。つまり、当事者同士の契約に関する具体的な合意が一般的な社会規範より優先するという解釈です。

行き過ぎた表現かもしれませんが、全ては契約書に記載されている具体的合意が優先されることとなり、契約書の文言の重要性はより増すことになります。

良く理解しないで進めた売買契約は後の買主とのトラブルの原因になります。不安が残るようであれば、契約当日の説明に先立ち、事前に説明を求めるなどの対策を行い、深く理解したうえで売買契約を進めましょう。

参考に、土地・建物の売買交換用の売買契約書のひな型を添付します。

売買契約書(見本)出典:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会

7-1-4. 買主からの手付金の受領

個人間の売買契約において受領する手付金は、売買金額の5%~10%です(取引によって、5%未満もありえます)。手付金は、売買代金に一部に無利息で充当される金銭です。また、手付解除の金額の性質も持ちます(後程説明します)。

 

売買契約書に署名し、手付金を買主から受領すると売買契約は正式に締結されたこととなります。売買契約締結後は、簡単に解除することができません。

しかし、一定の条件下で売買契約は解除できるもしくは解除となります。つづいて売買契約の解除について説明します。

7-2. 売買契約が解除となる事項を理解しておこう。

売買契約書に記載されている契約解除条件は次の通りです。

  • 手付解除
  • 契約違反による解除(違約解除)
  • 契約条件未達成による解除
  • 滅失毀損(めっしつきそん)による解除
  • 瑕疵担保による解除

ひとつひとつ説明します。

7-2-1. 手付解除

手付解除とは、売買契約時に買主から受領した手付金を基準とし、売主・買主どちらからでも恣意的な事由で(自己の都合で)契約を解除できる取り決めです。

買主から契約を解除する場合は、売主に渡した手付金の返還請求権を放棄する(手付金をそのまま売主に渡す)ことで、売主から解除する場合は、受領している手付金を買主に返還し、手付金と同額を支払うことで、売買契約を解除することが出来ます。

民法上は、売主・買主が債務履行に着手するまではこの手付解除ができることになっていますが、売買契約書では手付解除ができる日付が定められており、その期限までは手付解除ができることと定められています。

7-2-2. 契約違反による解除(違約解除)

売主・買主のいずれかに債務の不履行があった場合、複数回債務の履行を催告しても改善がない場合は、売買契約は違約解除となります。債務の不履行とは、売主が引渡期日が来ても不動産を引き渡さないことや、買主が住宅ローンの手続を一切行わないなどの事象を指します。

違約解除となった場合、債務の不履行を行った当事者が、売買契約書に定められている違約金を相手方に支払うことで契約が解除に至ります。違約金は、売買契約により異なりますが、一般的には、売買代金の10%と定められています。

手付解除や違約解除になった場合でも、契約は成立しているので、不動産会社に支払う仲介手数料を免れることは出来ません。しかし、判例によると仲介手数料全額の支払いではなく、減額されることが多く、半金となる事例が目立ちます。

7-2-3. 契約条件未達成による解除

マンションの売買契約の場合は少ないのですが、土地・戸建の場合は、売買契約書の特約に売主が不動産引渡時期までに行う事項が詳細に記載されている。売主の引渡時までに行う代表的な義務は次の通りです。

  • 不動産の相続登記
  • 確定測量図及び境界確認書の作成
  • 私道の通行掘削承諾書の作成
  • 越境解消の覚書の作成
  • 破損個所の修復

ひとつひとつ説明します。

不動産の相続登記

相続した不動産を売却する場合、買主に所有権移転を行うためには、現在の相続人の名前に相続登記を行う必要があります。相続登記は書類提出から2週間ほどかかるため、早めに準備を薦めましょう。

確定測量図及び境界確認書の作成

土地が取引の目的物に含まれる場合、売主はその土地の測量を行い、境界を明確にするため、隣接地の署名・捺印が入った境界確認書を作成する必要があります。特に、不動産が公道に面している場合、管轄行政との立会いを要するため、2ヶ月~3ヶ月の時間を要することがあります。遅くとも販売活動を開始したタイミングで測量作業を開始しよう。

私道の通行掘削承諾書の作成

不動産が私道に面していて、その私道にあなた以外の所有者がいる場合、その所有者全員から私道の通行や給排水管・ガス工事の為に掘削に対して承諾する旨が記載されている承諾書を取得する必要があります。

私道の通行掘削承諾は、人数が多いと10名ほど関係者がいることもあるため、早めに作業を開始しよう。承諾書は不動産会社や測量会社が作成してくれるが、隣接地に交渉するのはあなたが中心になって行うことが多い為、早めに計画を立てておこう。

越境解消の覚書の作成

あなたの土地に、隣接地からの越境物がある場合、買主に引き渡すまでにあなたはその越境を解消するか、将来建て替えるときに解消する約束を隣接地から取得しなければなりません。

代表的な越境は、樹木の枝・経年劣化し傾いた万年塀(まんねんべい)・給排水管などです。測量の際に、越境物の確認も測量士に依頼するようにしましょう。

破損個所の補修

売買契約書に、破損個所の補修が定められている場合、引渡時までに補修を行わなければいけません。補修箇所によっては、部材の発注に時間を要することもあるため、早めに手配を行います。

 

上記の中で、破損個所の補修以外は、あなた以外の第三者の協力が必要なこともあり、条件未達成になった場合の契約解除は白紙解除となります。(売主の責に帰すべき事由がない為)

契約解除になった場合は、受領している手付金を買主に返還します。

7-2-4. 滅失毀損による解除

売買契約締結から残代金決済・引渡しの時期までに、天災地変(地震や落雷など)で不動産が倒壊や焼失してしまった場合、買主は不動産を購入する目的が達成できない為、売買契約は解除となります。

万が一に備え、地震保険や火災保険は、所有権が買主に移転する日まで加入しておきましょう。

7-2-5. 契約不適合による解除

雨漏りやシロアリの被害、地中埋設物などの欠陥(品質を欠くもの)が契約書に記載されていない場合、売主様は契約不適合責任を負うことになります。

買主は不動産購入後、売主から報告を受けていない欠陥について、売主に一定期間、修補を求めることが出来ます。一般的に売主が負う契約不適合責任の期間は、不動産引渡し日から3ヶ月間です。(売主が個人の場合)

売主が保証できず、買主が購入した目的を達成できない場合には、売買契約は解除となります。

 

 

以上が売買契約の解除の説明となります。

売買契約が順調に進むようであれば、不動産の引き渡し準備・引越しに移ります。

8. 不動産の引渡し準備・引越し:設備の不具合に注意!

買主に不動産を引き渡すときには、建物を空室・空き家にします。又、建物内の動産物(家具など)は全て撤去を行わなければなりません。

引渡し準備・引越しの注意点は次の通りです。

  • 住宅ローンの一括返済、抵当権抹消準備
  • 売買契約書・物件状況報告書を基に担当者と書類および現地確認
  • 設備表を再確認し、設備の作動確認を行う。
  • 処分する家具等を行政や産廃業者を利用し処分する。
  • 引越し後、簡易的な掃除を行う。

ひとつひとつ説明します。

8-1. 住宅ローンの一括返済、抵当権抹消準備

売却する不動産に住宅ローンの設定があり、残債が残っている場合、買主から受領する残代金で一括返済し、不動産に登記されている抵当権(担保権)を抹消する必要があります。

実際の一括返済や抵当権抹消は残代金決済日当日に行いますが、銀行にはあらかじめ予定を伝え、抵当権抹消書類の準備を進めてもらう必要があります。

銀行の抵当権抹消書類準備は、担当する銀行によりまちまちで、早ければ1週間、遅いと1ヶ月ほどを要します。抵当権抹消書類が準備できないと所有権の移転が出来ないため、トラブルになります。

売買契約が終わり次第、出来るだけ早く担当銀行に連絡をとり、不動産会社の担当者とも連携して、書類準備を進めましょう。

8-2. 売買契約書・物件状況報告書を基に担当者と書類および現地確認。

不動産会社の担当者とともに、売買契約書に記載されている売主の契約義務が達成されているか、書類及び現地確認を行います。

代表的な確認事項を説明します。

確定測量は完了しているか。

測量士に依頼した測量は、引渡し前に完了しているため、担当者を交えて現地の境界標や越境があればその状況などを確認します。測量の完了確認には買主も同席する場合があります。

物件状況報告書の状況が変わっていないか。

物件状況報告書には給排水管の故障や雨漏り、シロアリの被害の内容などを記載する項目があります。売買契約時にはなかった雨漏れなどが、物件引渡し後見つかった場合、売主はその部分の補修義務を負うため、引渡し前に再度細かく建物や土地を確認します。

参考に、物件状況報告書を添付します。

土地建物用物件状況報告書(見本)出典:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会

その他、私道掘削承諾書や越境の覚書の確認を行います。

8-3. 設備表を再確認し、設備の作動確認。

売買契約時、売主は物件状況確認書(告知書)と設備表を作成しています。

設備表に記載されている主要設備(キッチン関係、風呂関係、空調関係の設備)については、引渡から7日間売主が作動を保証しなければなりません。この期間に故障や不具合が発見されると売主の責任と負担で修繕する必要があります。

※添付した売買契約書には設備保証なしとなっているが、多くの場合で引渡から1週間の設備保証が記載されている。

設備表の故障不具合の欄が無しとなっている設備については、引渡し前に作動確認を再度行っておこう。

参考に設備表を添付します。

土地建物用設備表(見本)出典:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会

8-4. 残置物を処分する。

引越し先に持ち込まない家具類で、設備表の残す設備に該当しないものについては処分します。

多くの行政で粗大ごみの回収を行っているので、行政機関を利用することが一番安く済むが、玄関前まで運んだり、中には持ち込みしか対応していない行政もあるため、早めに確認を行っておきましょう。

自身で処分できない場合は、産廃業者を利用する必要があるが、業者金額は会社によって大きく変わるため、信用でき安く行ってくれる業者を探すようにしましょう。

8-5. 簡易的な清掃を行う。

買主があなたの建物を利用する場合は、引渡し前に簡易的で良いので清掃を行っておきましょう。

買主も利用前にハウスクリーニングを利用することが多いが、引渡時にきれいになっている室内を見ることで契約の満足度をさらに上げることが出来る。

 

残置物の処分、簡易的な清掃が完了したら、いよいよ残代金の決済と所有権移転を待つだけです。あと少しで不動産売買が完了するので、最後までお読み下さい。

9.残代金決済・引渡し:必要書類の準備忘れに要注意!

不動産売却の最後のステップは残代金決済と不動産の引渡しです。ここまでくれば、基本的に売買契約が解除になることはまずないので、安心して進めて下さい。

9-1. 残代金決済の準備書類

残代金決済時に準備する書類は次の通りです。

残代金決済時に準備する書類

一般的には、残代金決済の2週間ほど前までに、不動産会社の担当者から上記の案内があると思います。必要書類が不足していると、買主への所有権移転登記が進められなくなり、最悪の場合決済日を変更しなければなりません。

早めに書類確認を行い、不安であれば不動産会社や司法書士に事前確認をしてもらいましょう。

書類の中には、売買契約時と同じ種類のものもありますが、残代金決済時には全ての書類の原本が必要となり、基本的には提出した書類の返還はありません。

登記費用や仲介手数料などは、売買代金から差し引きで支払うことが多く、別途金額のご準備を頂く必要はありません。

9-2. 残代金決済当日の流れ

残代金決済当日は、次の流れで進められます。

残代金決済日の流れ

ひとつひとつ説明します。

9-2-1. 登記申請書類の作成

所有権移転登記などの買主に所有権を移転するために必要な登記申請書類に署名・捺印を行います。書類は司法書士が準備します。登記必要書類の原本も司法書士に引渡します。

9-2-2. 残代金の支払い・固定資産税等の清算

登記書類の作成が完了したら、残代金の支払いに移ります。売買契約時に受領した手付金の額を売買金額から差し引いた残代金を買主から受領します。残代金の受領と合わせて、固定資産税・都市計画税やマンションの場合は、管理費・修繕積立金などの日割り計算した清算金を買主から受領します。

9-2-3. 鍵・不動産関係書類の引渡し

残代金等を受領したら、買主に不動産の鍵と不動産関係書類の引渡しを行います。買主に引き継ぐ書類は、戸建であれば「設計図書」「建築確認申請書」「検査済証」「設備の取扱説明書」、マンションであれば「管理規約・使用細則」「入居のルールブック」「分譲時のパンフレット」などです。

買主が入居後困らないように、お手元にある不動産関係書類は、出来るだけ買主に引き継ぎましょう。

9-2-4.諸費用の支払い

不動産会社に支払う仲介手数料や司法書士に支払う費用、測量を行った場合は測量費用などの支払いを行います。

諸費用は基本的に買主から受領する残代金から差し引きで行うため、別途ご準備頂く必要はありません。

 

以上が不動産売却の流れになります。

最後に、不動産を売却して税務上の利益が発生している場合や利益に対して特別控除などを利用する場合は、翌年の確定申告を行う必要があります。確定申告を忘れると、特別控除が利用できないなどの不利益が生じますので、必ず行うようにしてください。

まとめ:不動産売却の流れを細部まで意識する。

不動産売却の成功の秘訣は、不動産売却の流れのひとつひとつの細部までこだわり、確実に進めていくことにあります。

弊社では、魔法のように高く売却できる販売方法や相場よりも確実に高く売却してくれるカリスマのような担当者は存在しないと考えています。

ひとつひとつの工程に知識が深く、あなたに丁寧に説明を行ってくれる担当者を探し、密に連絡を取り合い着実に売却できる方法を探って行きましょう。

又、現在売却中でなかなか購入者が見つからずお困りの方は、是非つまづいている項目を再度読み直し、実践してください。この記事の内容は、きっとあなたのお役に立てるはずです。

 

あなたの不動産売却が成功するために。

 

不動産売却論は〝売却コンシェルジュ”の公式ブログです。

 

成功事例

この記事を書いた人

山﨑 紘靖
山﨑 紘靖
過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。

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