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【質問】養子縁組した兄弟で相続した不動産…

【質問】養子縁組した兄弟で相続した不動産(実家)の売却についてもめています。解決する方法はありますか?

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【質問】養子縁組した兄弟で相続した不動産(実家)の売却についてもめています。解決する方法はありますか?

こんにちは。

売却コンシェルジュの山﨑紘靖です。
今回は、昨年ご質問頂き、無事に解決できた当社案件について、わかりやすくご説明していきます。

『質問』(ご依頼内容)
現在、父親から相続した不動産の売却について、兄弟間で意見が分かれており、困っております。
私の家系は少し複雑で、両親ともに再婚でした。
結婚した時に、父には長女・長男・次男が、母には長男・次男(私)・長女・次女がいました。
生前、父と私(及び、私の妻・子供)は同居しており、父の遺言書にも「自宅は次男(私)に残す」旨の記載がありました。
しかし、父方の一部の兄弟から私一人で実家を相続することに反対意見もあり、遺留分請求をされてしまいそうです。
相続財産は不動産のみで、遺留分請求を受けると、不動産を売却せざるを得ません。何かよい解決策はありますか?
(世田谷区-70代男性)

ご質問を受けた段階では、ご本人様の皆さまもご自身の権利について曖昧なご理解だったため、まずは現状の把握から行いました。
実際に解決した手順にそって、わかりやすくご説明してまいります。

※以下の文章では、登場人物を下記記号で表現します。
父=A      ・ 母=B
父方長女=C ・父方長男=D ・父方次男=E
母方長男=F ・母方次男=G(ご相談者様) 
母方長女=H ・母方次女=I

相続人は誰?基本の確認をまず行います。

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父Aの相続が発生する前に、母Bは亡くなっています。
もともとは、父Aと母Bの共有でこの不動産を所有していたとのことでしたが、母Bの相続の際に、父Aにすべての所有権を移転したとのことでした。

今回の相続では、父Aの子供:C・D・Eについては当然に相続する権利があります。
では、母Bの子供:F・G・H・Iの権利はどうでしょうか。

実は、例え再婚相手の連れ子であっても、父Aと養子縁組をしていない場合、F・G・H・Iには、相続する権利がありません。

次のいずれかに当てはまる人は、実の子供として取り扱われますので、すべて法定相続人の数に含まれます。

  1. (1)  被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
  2. (2)  被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
  3. (3)  被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
  4. (4)  被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。なお、直系卑属とは子供や孫のことです。
    (国税庁HP抜粋)

しかし、遺言書にはGに不動産を相続させるとの記載があるため、Gは父Aと養子縁組されている可能性があります。

役所調査を行い、実際に父AとGとの間には、養子縁組関係がありました。
ちなみに、F・H・Iとの間には養子縁組関係はなし。

以上のことから、今回の法定相続人は、C・D・E・Gとなります。

遺留分の把握をする

父Aの土地は、時価評価額:金1億円でした。
この金額を基にまず相続人C・D・E・Gの相続金額を算出します。
権利は、1/4づつのため(養子であれ権利は同じ)、それぞれ2,500万円づつということになります。
次に、遺留分を算出します。
遺言書では、すべての不動産をGに相続させることになっています。
C・D・Eの遺留分は、それぞれ法定相続分の半分のため(詳しくは、こちらを参照)、1,250万円ずつとなります。

つまり、もしGは兄弟から遺留分の請求を受ける場合、1,250万円×3=3,750万円となります。

以上が基本的な現状把握の手順です。
不動産評価査定はもちろんのこと、共有者がいる場合にはここまでの現状把握が必要になると思われます。

相談内容のとおり、ご相談者様であるGには、遺留分を支払う資金はなく、遺留分を支払うためには、居住している自宅を売却しなければいけない状況でした。
次の段階として、自宅を売却しなくてもよい状況にするために、実際に他の共有者と交渉を行っていきます。

相続人全員であつまり実際の相続について決めていく

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事前の確認で、現状を把握したのち、実際に相続人全員での交渉に入りました。
※相続人=C・D・E・G

話し合いの争点は、G:『家族で住んでいる自宅を売却したくない』とC・D・F:『遺留分の請求をしたい』です。
話し合いは時間を要しましたが、下記のような結論にまとまりました。

『合意した遺産分割』
1.遺留分の合計金額は、金2,000万円とする。
2.Gは遺留分の金2,000万円を自宅の庭先を分筆してC・D・Eに不動産の状態で引き渡す。
3.その他、遺留分の請求はしないものとする。

まず1.の遺留分の金額。
権利関係の把握ができた段階から、遺留分請求を免れることは難しいだろうと判断しました。
ただ、相続した不動産はもともと父Aと母Bの共有財産です。
母Bが亡くなったときに、F・H・Iにも相続の権利があり、父Aと子供F・G・H・Iの共有財産として登記することも可能だったはずです。
母Bが亡くなった段階でも、父Aがなくなった今回も相続財産を得られない兄弟であるF・H・Iは、Gが不動産を単独で相続することに賛成でした。
F・H・Iにも協力を仰ぎ、C・D・Eから金2,000万円の遺留分で譲歩することの了承を得ることが出来ました。

次に2,の遺留分相当額の支払い方法について。
先にも記述しましたが、Gには遺留分を支払うまとまった資金はなく、今回は自宅の土地のうち、庭先の金2,000万円分の土地をC・D・Eに登記する(所有してもらう)ことで合意することが出来ました。
※現物での遺産分割。

3.については、これ以上の争いが兄弟間で起きないように、お互いの合意文章として作製させて頂きました。

まとめ

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いかがでしたでしょうか。
実は、今回のようなご相談は当社に多く頂きます。

特に権利関係が複雑な場合、基本的なことを理解しておかないと、感情のもつれから裁判まで発展する可能性もあります。
事件(法律上の争い事)になると、解決までの時間や弁護士費用の発生などがあり、精神的にも経済的にも疲弊してしまいます。
相続のお話合いで意見が合わない場合、できるだけ早い段階で専門家への相談をされたほうがよいと思われます。
専門家との打ち合わせで相続人の皆さまに負担が少ない形での相続方法が見つかる可能性が高いです。

また、遺言書を自筆遺言で残される場合は、遺留分のことに留意して記載することが重要になってきます。(詳しくは、こちらを参照してください。)

相続は、きちんとした手続き・準備を進めておくことが大切です。
何かご質問・ご不明点等がある場合は、お気軽にお申しつけ下さい。

今回も最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。

成功事例

この記事を書いた人

山﨑 紘靖
山﨑 紘靖
過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。

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