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崖・擁壁がある土地、戸建の売却完全ガイド…

崖・擁壁がある土地、戸建の売却完全ガイド|東京都と横浜市のがけ条例と対処法をわかりやすく解説

崖・擁壁がある土地、戸建の売却完全ガイド|東京都と横浜市のがけ条例と対処法をわかりやすく解説

「家の隣に崖がある」「敷地内にコンクリートの壁がある」——そんな土地や戸建てを売ろうとしても、なかなかうまくいかないとお困りの方は多いのではないでしょうか。

このブログでは、崖や擁壁(ようへき)がある土地を売却する際に知っておくべきことを、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説します。東京都や横浜市(神奈川県)の法令についても具体的に説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。


崖・擁壁とは何か?基本をおさえよう

🏔️ 崖(がけ)とは?

崖とは、地面が急に高くなったり低くなったりしている場所のことです。山の斜面や、道路と敷地の間に高低差がある場所が崖にあたります。法律では、一般的に「傾斜が30度を超え、高さが2メートルを超える斜面」を崖と定義しています。

▲ 崖の定義イメージ(傾斜30度超・高さ2m超)

高さ 2m超 30°超 がけ上 がけ下 崖面

🧱 擁壁(ようへき)とは?

擁壁とは、崖の斜面や土の壁が崩れないように支えるために作られた、コンクリートや石でできた壁のことです。「土留め(どどめ)」と呼ばれることもあります。家を建てるとき、山を切り開いたり盛り土をしたりした場合、その土が崩れないように擁壁を設けます。

▲ 擁壁のイメージ図(家は上の土地の草の上に建っています)

上の土地 擁 壁 下の土地 ← 土の崩れを防ぐ!

擁壁の種類

① コンクリート造

最も一般的。強度が高く、現代の建築基準を満たしやすい。

② ブロック積み

コンクリートブロックを積み上げたもの。古いものは安全性に問題が出やすい。

③ 石積み

自然石を積み上げたもの。景観はよいが、現代基準では不適格なことも。

④ 間知ブロック

台形状のブロックを組み合わせたもの。道路・河川沿いで多く見られる。

💡 ポイント:誰が擁壁を管理するのか

擁壁は「誰が管理するのか」も重要です。隣の土地との境界に擁壁がある場合、どちら側の土地に属するかによって修理の責任者が変わります。


東京都・横浜市の条例による建築制限

崖や擁壁がある土地に建物を建てようとすると、国の法律(建築基準法)だけでなく、都道府県や市の条例(地域ごとのルール)も守らなければなりません。東京都と神奈川県(横浜市)では、それぞれ特別なルールが定められています。

🗼 東京都建築安全条例 第6条

東京都では「東京都建築安全条例」の第6条で、崖のそばでの建物の建て方について細かくルールが定められています。

▲ 東京都安全条例による建築制限(崖高さHに対する距離)

H 崖の高さ がけ上:2H以上離す がけ下:2H以上離す 建築 NG X NG OK がけ上 がけ下 崖面

場所 ルールの内容 例(崖の高さ3mの場合)
がけ上(崖の高い側) 崖の高さの2倍以上、崖の縁から離れて建てる 崖縁から6m以上離す
がけ下(崖の低い側) 崖の高さの2倍以上、崖の下端から離れて建てる 崖下端から6m以上離す
例外 適切な擁壁を設置すれば制限内でも建築できる場合がある 要・事前相談
⚠️ 重要:建築できる範囲が狭くなる=土地の価値が下がる

崖に近い土地では、建物を建てられる範囲(建築可能エリア)が狭くなります。これが崖のそばの土地が売りにくくなる大きな理由のひとつです。

🌊 横浜市・神奈川県の場合(神奈川県建築基準条例)

横浜市がある神奈川県では「神奈川県建築基準条例」でルールが定められており、考え方は東京都と共通していますが、崖の定義の高さが異なります

📋 神奈川県条例における「がけ」の定義

神奈川県建築基準条例では、「地上面との角度が30度を超え、高さが3メートルを超える斜面」をがけと定義しています。東京都の「高さ2m超」よりも基準が1m高い点がポイントです。

条件 規制内容
崖の定義 傾斜30度超かつ高さ3m超(東京都は2m超)
適合擁壁がある場合 安全な擁壁があれば、距離の制限が緩和されることがある
既存不適格の擁壁 現在の基準を満たしていない擁壁は「既存不適格」となり、建替え時にやり直しが必要になる場合がある
🚨 「既存不適格」とは?

昔は合法だったけれど、今の法律では基準を満たせていない状態のことを「既存不適格(きぞんふてきかく)」といいます。古い擁壁に多く見られます。既存不適格の擁壁がある土地は、建て替えや増改築の際に問題になることがあります。


擁壁のやり直し(造り替え)について

古い擁壁や現在の法律基準を満たしていない擁壁は、新しい擁壁に造り直すことを検討します。これを「擁壁の造り替え(やり替え)」といいます。

やり直しが必要な擁壁のサイン

  • ⚠️ ひび割れ・亀裂がある
  • ⚠️ 膨らみ・傾きがある
  • ⚠️ 水抜き穴が詰まっている
  • ⚠️ コンクリートが剥落(はくらく)している
  • ⚠️ 鉄筋がさびて表面に出てきている
  • ⚠️ 築30年以上経過している
  • ⚠️ 検査済証がない

擁壁造り替えの流れ

① 現況の擁壁を専門家(建築士・土木士)が調査

② 自治体(区・市)に事前相談

③ 設計図を作成し建築確認申請(高さ2m超の場合)

④ 既存の擁壁を解体・撤去

⑤ 新しい擁壁を施工

⑥ 検査を受けて完了(検査済証を取得)

💰 擁壁造り替えの費用感

擁壁の造り替えには、規模によって数百万円〜数千万円かかることがあります。高さが高いほど、面積が広いほど費用は増えます。また、隣地への立ち入り許可が必要になることもあり、工事が複雑になるケースも多いです。

注意!隣地の擁壁の場合

擁壁が隣地(お隣の土地)にある場合は、自分では勝手に工事できません。その擁壁の維持・管理義務は擁壁の所有者(多くの場合、上の土地の所有者)にあります。売却前に擁壁の所有者を確認し、状況を整理しておくことが重要です。


擁壁のやり直しができない場合の対処法

費用面や隣地との関係など、さまざまな事情で擁壁の造り替えができないこともあります。そんな場合でも、いくつかの対処法があります。

🏗️ 建築工法で解決する方法もある

擁壁をやり直せない場合でも、「深基礎工法(ふかきそこうほう)」「杭工法(くいこうほう)」と呼ばれる建築の工夫で、崖条例の制限を受けにくい建物を建てられる可能性があります。

深基礎工法とは、建物の基礎を通常より深く掘り下げることで、崖の影響を受けない安定した地盤に支持させる方法です。杭工法は、地中深くに杭を打ち込んで建物を支える方法で、崖近くの軟弱な地盤でも対応できます。

こうした建築的な解決策があることで、「擁壁が古くても買主が建物を建てられる」土地として売り出せるケースがあります。建築の知識がある不動産会社に相談し、売却の糸口を探すことが重要です。

① 深基礎工法・杭工法で建築できることを買主に示す擁壁をやり替えなくても、建築工法の工夫で家が建てられることを専門家に確認し、買主に伝えることで売却の可能性が広がります。
② 擁壁診断を受けて「安全証明」を取得する専門の建築士に診断を依頼し、現状の擁壁の安全性を証明してもらう方法です。診断書があることで買主の安心感が高まります。
③ 売買価格に修繕費用を反映させる擁壁の修繕・造り替えにかかる費用を見積もり、その分を売買価格から差し引いて提示する方法です。
④ 「現状有姿(げんじょうゆうし)」での売却擁壁の状態をすべて開示したうえで、現状のまま売却する方法です。価格は下がりますが、重要事項説明書への記載が必須です。
⑤ 不動産業者への直接売却(買取)を利用する一般の個人への売却が難しい場合、不動産業者が直接買い取ってくれることもあります。早く確実に手放せるメリットがあります。
⑥ 隣地に売却・隣地と合筆する隣接する土地の所有者に買ってもらったり、合わせて一つの土地にする(合筆)ことで解決できる場合もあります。
✅ 「現状有姿売却」のポイント

擁壁や崖のある土地を現状のまま売る場合、最も大切なのは「全て正直に伝えること」です。後から「知らなかった」「聞いていない」とトラブルになると、売主が損害賠償を求められることもあります。


売却時の注意点

① 擁壁の「調査・確認」をしっかり行う

確認事項 内容 なぜ重要か
確認済証・検査済証の有無 擁壁の建築確認と完了検査の証明書 ないと「違法擁壁」とみなされリスクが高い
擁壁の所有者・管理責任者 自分の土地か、隣地か 修繕の責任範囲が変わる
高さ・材質・築年数 現況の確認 法令適合の判断基準になる
越境の有無 擁壁が隣地に出ていないか 境界トラブルの原因になる

② 重要事項説明書への記載

不動産を売却するとき、宅地建物取引士(宅建士)が買主に「重要事項説明」を行います。崖・擁壁に関しては以下を必ず記載・説明する義務があります。

  • 📌 崖・擁壁の存在と状態
  • 📌 建築制限(がけ条例など)の内容
  • 📌 擁壁の適法性(確認済証の有無)
  • 📌 想定される修繕費用
  • 📌 隣地との境界の状況

③ 瑕疵担保・契約不適合責任に注意

売却後に、買主が「聞いていない欠陥があった」と主張した場合、売主が修繕費用を負担しなければならないことがあります(契約不適合責任)。これを防ぐには、売却前に問題点をすべて把握し、契約書に明記しておくことが重要です。

🚨 「知らなかった」では通じない

売主が擁壁の問題を知っていたにもかかわらず買主に伝えなかった場合、後から損害賠償を請求されるリスクがあります。専門家(不動産仲介会社や建築士)と連携して、しっかり情報開示を行いましょう。

④ 境界の明確化

崖や擁壁のある土地では、隣地との境界線が不明確なことがよくあります。売却前に「境界確定測量」を行い、隣地所有者と境界を確定しておくことで、売却がスムーズになります。


買主の選定と不動産仲介の活用

崖や擁壁のある土地は、状況によって「どんな買主に売るか」が大きく変わります。買主の種類によって、売却のしやすさや価格が変わるからです。

買主のタイプ 特徴
一般個人 購入後、希望の建物が建築出来ること。現状の擁壁の安全性に大きな危惧が無いことが重要。
開発業者 擁壁ごと解決して再開発できるが、交渉が成立しやすい
隣地所有者 購入してくれれば擁壁の問題は解決しやすいが、高低差のある隣地を購入するケースは少ない。
買取専門業者 早く売れるが、価格は市場価格より低くなる。

不動産仲介の会社に依頼する方が良い

崖や擁壁のある土地の売却では、売主様の擁壁がどのような状況にあるか、そして売却においてどのようなリスクがあるかを正確に判断できる、擁壁の知識が深い仲介会社に依頼することが重要です。

擁壁の問題は法律・建築・市場の知識がすべて絡み合った複雑な問題です。一般的な不動産会社では対応しきれないケースも多く、擁壁・がけ条例に精通した仲介会社を選ぶことが、スムーズな売却への近道となります。

✓ 適切な買主を探してくれる擁壁の状況に合わせて、適切な買主(開発業者・隣地所有者など)を見つける専門的な知識とネットワーク(建築士などとの連携)を持っています。
✓ 法的なリスクを回避してくれる緻密な調査に基づいた重要事項説明や契約書の作成など、トラブルなく取引が終えられるようにサポートしてくれます。
✓ 売主様と一緒に最善策を考えてくれる擁壁の状況・予算・売却時期など、個別の事情に合わせた戦略を一緒に考えてくれます。
✓ 建築知識を活かした売却戦略を立てられる深基礎工法・杭工法など建築的な解決策も含め、買主が見つかりやすい条件整理をプロが行います。
🎯 まとめ:状況によって戦略は変わる

擁壁の状態がよければ通常売却も可能。問題があれば価格調整・建築工法の提案・買取など複数の選択肢を検討。どの方法が最適かは、プロと一緒に考えるのが一番です。


まずは売却コンシェルジュへご相談ください

崖や擁壁がある土地・戸建ての売却は、普通の不動産売却よりずっと複雑です。でも、適切なサポートがあれば、必ず解決策が見つかります。

私たち売却コンシェルジュは、東京都・横浜市をはじめとした首都圏の不動産売却を専門に扱っています。崖条例や擁壁の問題、深基礎・杭工法などの建築的解決策にも精通したスタッフが、お客様の状況に合わせた最善の売却プランをご提案します。

「売れるかどうかわからない」「どこに相談していいかわからない」——そんなお悩みでも、まずはお気軽にご相談ください。査定・相談は無料です。

崖・擁壁のある土地の売却
お気軽にご相談ください

専門スタッフが売主様と一緒に最善の売却方法を考えます。査定・ご相談は無料です。

まとめ

テーマ ポイント
崖・擁壁とは 崩れを防ぐための構造物。古いものは法令不適合の可能性あり
東京都の条例 崖の高さ×2以上の距離を確保(高さ2m超が対象)
神奈川県の条例 崖の高さ×2以上の距離を確保(高さ3m超が対象)
擁壁のやり替え 数百万〜数千万円の費用。専門家への相談が必須
やり替えできない場合 深基礎・杭工法での建築提案、現状有姿売却・買取など複数の対処法がある
売却の注意点 情報開示の徹底・重要事項説明への記載・境界の確定
相談先 建築知識を持つ不動産仲介へ。状況に合わせた戦略を一緒に考える

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法令解釈・査定は専門家にご相談ください。© 2025 売却コンシェルジュ

成功事例

この記事を書いた人

山﨑 紘靖
山﨑 紘靖
過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。

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