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売却コンシェルジュBLOG親が老人ホームに入居したら考えておきたい実家売却のこと。【認知症・成年後見制度編】

2017年3月21日(火)

親が老人ホームに入居したら考えておきたい実家売却のこと。【認知症・成年後見制度編】

親が老人ホームに入居したら考えておきたい実家売却のこと。【認知症・成年後見制度編】

『入居者から不動産売却について相談を受けたのだが、専門外でよくわからない。力になってあげてくれないか。』

弊社が提携している老人ホームの理事長から頂いた依頼です。

私たちの生きている日本は世界でも類を見ない高齢化が今後進むといわれ、高齢化に伴い資産の大部分を占めるであろう不動産の問題は、今後急増すると考えられています。

親御様ご本人に潤沢な年金や現金資産があれば、老後にかかってくる費用はまかなえます。しかし、実際にご相談を頂く場合は、自宅(実家)を売却し、資金の補てんをしたいとの要望が多く、中には相談者(ご子息、ご息女)が本人に代わり費用を支払い続けていることもあります。

ただ、老後の資金不足になった時に、スムーズに自宅を売却できれば良いのですが、なかには不動産を売却すること自体できない事例売却はできたが多くの税金がかかってしまった事例が存在します。

今回の記事では、親が老人ホームに入所したときに考えておきべき実家の売却について、意思能力と成年後見制度についてわかりやすくご説明します。続編にて、税務知識のこともご説明する予定ですが、意思能力や成年後見制度は、不動産売却自体が行為として行えるかという根本的なお話になるため、最後までお読み頂きお役に立てれば幸いです。

基本は、所有者本人の意思能力の確認

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不動産の売買契約には、本人の意思能力が必要となります。

自己の行為の法的な結果や意味を認識・判断する能力を、意思能力といいます。売買契約を締結したときに、高齢者である売主が、意思能力のない状態だったのであれば、売買契約は無効となります。

引用:全日本不動産協会

介護を必要とする高齢者の中には、認知症がある方もおり、最近認知症の高齢者による不動産取引に関する裁判事例が増えてきています。

「認知症」とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。

さまざまな疾患(アルツハイマー病など)により引き起こされる症状の総称が「認知症」であり、高齢化に伴う脳の老化によって引き起こされる「もの忘れ」とは異なるとされています。

判断能力が低下しないと言われている「もの忘れ」であれば、不動産売買契約を行うことはできることが多いでしょう。

しかし、「認知症」を発症しており、契約した時点で意思能力が欠如していたと判断された場合は、その売買契約は無効となります。

まずは、意思能力がある・ないの基準を理解するために、最近の判例を2つご紹介します。

意思能力に関する最近の判例

1.代理権授与に基づく売買が有効とされた事例
(東京地判 平成8年11月27日判決(判時 1680-120))

①事案の概要
痴呆症(認知症)の売主の相続人(原告) が、同売主がした代理権授与は意思能力を欠く無効なもので、これに基づく売買契約が無効であるとして、所有権移転登記の抹消を求めた事案である。裁判所は、代理権授与の際に意思能力を喪失しておらず、代理権授与は有効であり、売買契約もまた有効であるとした。

②裁判所の意思能力に関する判断
裁判所は売主の意思能力について以下のように認定した。

・痴呆症の売主が入院していた病院の記録から、多発性脳梗塞のため痴呆症状を呈するようにはなってはいたものの、常時判断能力を喪失していたと断ずるには躊躇を覚える。
・弁護士が売り主と病院で面会した際、判断能力に疑問を感じることはなかったこと、売り主は面談した者を弁護士であることを認識し、本件土地建物を売却すること を依頼したこと、弁護士が本件委任状を起案し、委任事項として本件土地建物の売却等を記載して、逐一説明したところ、これを納得したことなどから、本件売買契約の 趣旨、目的を理解し、委任事項も理解し、それ故に不自由極まりない手で、何とか委任状に署名を試みたと理解するのが合理的である。

2.売買が無効とされた事例
(東京地裁平成20年12月24日判決(判時 2044-98))

①事案の概要
90歳の高齢者(原告)が所有不動産について著しく不利な条件で締結した売買契約につ いて、契約を締結したことはなく、売却代金も受け取っていない、仮に受け取っていたとしても、契約当時意思能力を欠いていたから無効であると主張して、所有権移転登記等の抹消登記手続きを求めた事案である。裁判所は、売主は契約当時意思能力を欠いていたとして売買契約を無効などとし、所有権移転登記等の抹消登記手続きを認めた。

②裁判所の意思能力に関する判断
裁判所は、売主の意思能力について以下のように認定した。

・売主は、賃借人に対し電気代及び水道代の請求をしなくなり、記銘力及び計算力の障害並びに構成障害の認められる老人性痴呆症に罹患されていると診断された。
・本件売買契約は、売り主にとって、売却代金が非常に低廉な著しく不利な内容のものであり、これを締結したことは合理的判断能力を有する者の行動としては理解しがたい。本件売買契約当時、老人性認知症に罹患しており、その理解力、判断力は相当に衰えていたものと推定でき、すべての主張立証をもってしても本件売買契約の代金が支払われた事実を認定できない。

(引用:不動産適正取引推進機構)

判例からわかること。

1.の売買が有効とされた事例の場合、売主は認知症でありながらも、「本人が土地建物を売却することを依頼し、委任事項を弁護士が逐一説明したところ、これを納得した」と契約の有効性を示しています。

2.の売買が無効とされた事例の場合、1.と同じく売主は認知症でしたが、「売買契約が売主にとって、売却代金が非常に低廉な著しく不利な内容のものであり・・・」と売主に合理的判断能力がなかったことを指摘し、契約を無効としています。

つまり、不動産を売却しようする場合は、売主本人に高度な理解力が必要とされています。

この高度の理解力の判断は、不動産取引の客観的な合理性や高齢者にとって不利な取引かどうかなどの要因で判断することが多いようです。

では、認知症(もしくは認知症の疑いがある)の売主の意思能力はどのように行うべきなのでしょう。

意思能力の確認方法

最近増加傾向にある認知症では、日によって症状の差があり、短期間の面談などでは意思能力を判断できないことも多くあります。

意思能力を判断する場合は、親族だけで判断せずに、弁護士や司法書士・宅地建物取引士などの同席を得て、複数の人が複数回、別の時間で面談するなどの対応が必要とされています。

不動産流通促進センターでは、慎重を期すべき取引の場合は、下記のような内容を確認するべきとしています。

・売買等の目的・理由。売却代金の使いみちや、
 購入代金・費用の調達方法。
・自宅売却の場合には、次の転居先確保の目処。
・本人の年齢や干支。面談日の朝や昼の食事のメニュー

本人のプライバシーなどの問題もあり確認が難しい場合でも、最低限上記内容などを確認し、必要があれば記録や録音するなどの対応が重要となります。委任状等に住所・名前が記載できるできないのみで判断をすることは早計と言えるでしょう。

その他、「長谷川式簡易知能評価スケール」という10~15分程度のテストも有効とされています。

認知症は、日本の急速な高齢化に伴い増加していくと考えられます。しかし、本人が認知症の場合の対応や確認方法などは明確に決められていないため、取引を担当する宅地建物取引士や司法書士の判断に委ねられていることが多くあります。

売買を行う場合は、認知症に理解があり、売主様や親族の方が信頼をおける不動産会社や司法書士を探すことが取引の安全性を高めます。慎重に選定するようにしましょう。

一方で、売主が認知症であり、意思能力がないと判断された場合は、どのようにすれば良いのでしょうか。

成年後見制度を利用した不動産売却

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親の意思能力がなく、売買契約を締結できない場合は、法定後見制度(成年後見制度)を利用することになります。まずは、成年後見制度の概要を簡易的に説明します。

成年後見制度とは

認知症知的障害精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。

引用:法務省

成年後見制度の種類

成年後見制度には、2つの種類があります。

・法定後見制度:判断能力が実際に衰えてから利用できる。

・任意後見制度:判断能力が衰える前に「契約」を交わし、利用できる。

さらに、法定後見制度は、判断能力によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれます。

※この記事では、不動産の売却に焦点をおくため、詳細な制度のご説明は割愛します。

成年後見制度のメリット・デメリット

成年後見制度を利用し、不動産を売却することは出来ます。しかし、不動産を売却することを目的に存在する制度ではないため、成年後見人にはその他の業務を行う義務も発生します。

■メリット
1.本人の代理人になれる。
「預貯金の入出金」や「不動産などの売買」ができます。なお、法定後見人の場合、居住用の不動産(本人の自宅など)を売却する場合、家庭裁判所の許可が必要になります。非居住用の不動産の売却や任意後見人の場合は、家庭裁判所の許可は不要です。

2.本人に不利な契約を取り消すことができる。
リフォーム詐欺や商品の大量購入など、本人に不利な契約をしてしまった場合、成年後見人は本人に代わり、この契約を取り消すことができます(取消権)。なお、任意後見人には、この取消権は付与されません。

3.財産管理に家庭裁判所が関与します。
成年後見人は、本人の財産全般を管理し、裁判所に財産状況や、重要な財産の処分について報告し承認を得る義務があり、裁判所の監督を受けていますので、本人の財産が不用意に散財したり、その他の親族や第三者が勝手に財産を処分したり、横領するといったことも防げます。

■デメリット
1.希望通りに後見人になれるわけでもない。
親族が後見人になること自体は可能です。実際、多くのケースでは親族が後見人に選任されています。

しかし、近年では、親族の後見人が本人の財産を使い込んでしまうケースが問題となり、裁判所が親族を後見人に選任することに慎重になるケースも見受けられます。そのため、親族を後見人の候補者として申立をしても、場合によっては、弁護士等の第三者が後見人に選任される可能性があります。その場合、後見人に対する報酬(月2~5万円程度)が発生しますので、注意が必要です。

2.成年後見人は、本人の財産を自分たちのために使うことはできません。
後見人が選任されていないときには、例えば妻が、判断力のない夫の預金を払い戻して生活費にあてるなど、比較的自由に本人の財産を家族のために使っているケースがあります。ところが、後見人が選任されると、そういうわけにはいきません。後見人は本人の利益を保護しなければならず、また、裁判所から監督を受けるからです。そのため、後見人が選任されると、財産の使用は窮屈になることを覚悟しなければなりません。

3.後見人を外すのは簡単ではありません。
「後見人の選任を申し立てたが、見込み違いなのでやめたい。」という相談があります。しかし、一度、後見人が選任されると、その決定を取り消すためには、本人に判断能力が戻ったなどの相当の理由が必要です。そういう理由がない限り、後見業務は、本人が亡くなるまで続くのが原則です。
また、「申立はしたけど、やっぱり取り下げたい。」ということも基本的にはできません。取下げには裁判所の許可が必要だからです。したがって、後見人の選任を申し立てる場合には、慎重に考える必要があります。

(デメリット参照元:弁護士法人福澤法律事務所)

成年後見人による不動産売却

法定後見人が、本人の居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。非居住用の不動産の売却や任意後見人による不動産の売却の場合は、家庭裁判所の許可は不要です。

法定後見人が家庭裁判所の許可を得ずに行った居住用不動産の売却は無効になります。

法定後見人による居住用不動産の売却手続きは下記のように行います。

■法定後見人による不動産売却の手続き

1.不動産会社と媒介契約を締結
不動産査定を経て、金額・条件を決定したうえで、不動産会社と売却の媒介契約を締結し、不動産の販売活動を開始します。媒介契約は、本人に代わり法定後見人が行います。

2.売買契約の締結
買主が決まったら、売買契約を締結します。この手続きも本人に代わり法定後見人が行います。

法定後見人による売買契約の特約には、「家庭裁判所の許可審判が下りることを停止条件にする」旨の特約を必ず記載します。売買契約書の案(前述の特約を記載した売買契約書のこと)は家庭裁判所に提示します。

※停止条件:家庭裁判所の許可が下りたら(条件の成就)契約日に遡って契約の効力が発生します。許可が下りない場合は、その契約自体がなかったものとなります。

3.家庭裁判所の許可を得る
売買の相手方の名前や売買金額など、売買契約書の案の提出も含めた内容提示を家庭裁判所に行い、許可申し立てを行います。

書面に問題がなければ、申し立て後1カ月前後で許可が発令されます。

4.残代金決済・所有権移転登記
家庭裁判所の許可が下りたら、買主と日程調整を行い、残代金決済の手続きを行います。法定後見人が、登記を行う司法書士に提出する書類は下記の通りです。

■法定後見人必要書類等
・権利書(登記済権利証、登記識別情報など)
・印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
・実印
・家庭裁判所の許可書
・運転免許証等の本人確認書類

以上です。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

人間は必ず死にます。一方で人間は必ず認知症になるわけではありません。相続は必ずおきますが、認知症での不動産売却は必ず必要になるとは言い切れません。

認知症の本人の不動産売却については、通常の不動産売却とことなり、必要とされる知識が多岐にわたります。本人の意思能力の確認や成年後見制度に詳しい専門家に相談し、間違いのないように進めてください。

記事の内容やより詳細なご説明、不動産売却に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。

 

今回も最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。

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私が記事を書きました。

山﨑 紘靖
山﨑 紘靖過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。

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