売却額が下がる!?高さ120cmを超えるブロック塀の注意点と「解体・覚書」の現実的解決策
不動産の売却では、ブロック塀の「越境」と「高さ」が思わぬトラブルの原因になることがあります。引渡し後に判明すると、買主様との間で紛争に発展しかねません。
結論から言えば、高さ120cm(ブロック約6段)を超える違法なブロック塀があり、隣地の承諾が得られない場合には、売却代金の減額交渉の対象になり得ます。
その理由を順を追って詳しく解説します。
1. ブロック塀の越境 3つのパターン
ブロック塀の越境は、大きく次の3つに分けられます。
- 自分の塀が隣地へ越境している
- 隣地の塀が自分の土地へ越境している
- 境界線上に共有の塀が立っている
それぞれの対応方法

① 自分の塀が越境している場合
売主様が解体するか、買主様に状況を説明したうえで、建築時に解体してもらうことで解消できます。
② 隣地の塀が越境している場合
隣地所有者に説明して解体を依頼するか、現状の越境を容認し、将来の建替え時に是正してもらう「将来是正の覚書」を交わします。実務では急な解体依頼に応じられる方は少ないため、覚書で対応するケースが一般的です。
③ 共有塀の場合
共有塀は双方が所有しているため、厳密には越境ではありません。共有であることの確認や、将来の修繕の取り決めを行い、必要に応じて「共有塀に関する確認書」や「覚書」を作成します。
なお、民法229条では境界線上の塀などを原則として相隣者の共有と推定しています。共有かどうかの判断にあたっては、この規定も踏まえることになります。
越境がブロック塀だけであれば、実務上よくあることです。覚書などで適切に処理すれば、過度に心配する必要はありません。
2. 本当に問題になるのは「高さ」
真に問題となるのは、塀の高さが120cm(ブロック約6段)を超える場合です。
建築基準法施行令第62条の8では、組積造(ブロック造)の塀の基準が以下のように定められています。
- 高さは原則2.2m以下
- 高さが1.2mを超える場合は、約3.4m以内ごとに控え壁(塀を支える突出部)を設ける
- 十分な厚さの確保、鉄筋の配置、基礎の設置
つまり、控え壁のないブロック塀は高さ120cm以下でなければなりません。この基準は地震時の倒壊から人命を守るためのものです。2018年の大阪府北部地震では倒壊したブロック塀により尊い命が失われました。これを機に、全国で塀の安全性への関心が急速に高まっています。
3. 違法なブロック塀が隣地所有・共有の場合
120cmを超える違法な塀が自分の所有であれば、売主様の判断で解体や改修ができます。一方、隣地の塀や共有塀の場合は、次の2つの解決策が考えられます。
- 解体して、適法な塀に造り直す
ブロック2〜3段にフェンスを組み合わせた塀にすることで、安全性も高まります。 - 高さ120cm以下になるようカットする
解体が難しい事情がある場合、実務でもよく行われる方法です。
※なお、控え壁を後から新設する方法は、施工が困難なため通常は選択されません。
4. 隣地の承諾が得られない場合の減額リスク
どちらの方法をとる場合でも、隣地所有者の承諾が必要です。共有塀であっても同様で、勝手に壊すことはできません。無断で解体すると、器物損壊罪(刑法261条)に問われ、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料の対象となります。
承諾が得られない場合の現実的な解決策は、「問題のある塀の部分を建築敷地から除外して考える」ことです。すると、買主様が実際に使える敷地面積が実質的に減ってしまうため、これが売買代金の減額交渉につながる仕組みです。
減額のイメージ(試算)
土地相場が坪350万円の地域の場合、1㎡あたりの単価は約105万円です(350万円 ÷ 3.3058㎡)。
仮に違法な塀が占める・影響する面積が1㎡であれば、約105万円の減額を求められる可能性があります。
※ただし、これはあくまで試算です。実際の減額幅は、塀の位置や面積、買主様の建築計画、地域の事情などによって変動します。
5. 説明せずに売却するリスク
最も避けるべきなのは、越境や違法なブロック塀の存在を買主様に伝えないまま売却することです。後から判明した場合、売主様は以下の深刻な責任を問われるおそれがあります。
- 告知義務違反
- 契約不適合責任(民法562条以下)による追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除
「知っていて黙っていた」と評価されると、裁判等でも売主様にとって非常に不利になります。減額を恐れて隠すよりも、事前に事実を整理して誠実に説明するほうが、結果的に損失を小さく抑えられます。
6. 売却前にやっておくべき4つのこと
- 測量時に越境物と塀の高さを確認する
境界確認と同時に、塀の所有者や状態(控え壁の有無など)も把握します。 - 隣地所有者と早めに協議する
「将来是正の覚書」や「塀の改修に関する承諾」を得られれば、減額リスクを軽減できます。 - 重要事項説明書・売買契約書に正確に記載する
塀の状況や取り決めを明記しておくことで、引き渡し後の紛争を予防できます。 - 自治体の補助金制度を確認する
危険なブロック塀の撤去・改修に対して、補助金を設けている自治体も多くあります(※内容は自治体ごとに異なります)。
おわりに
ブロック塀の越境自体は、覚書などで適切に対応できるケースが多い実務上の問題です。
しかし、高さ120cmを超える違法な塀が「隣地」や「共有部分」にあり、解体や改修の承諾が得られない場合には、有効敷地面積が減り、売買代金の減額交渉に発展するリスクがあります。
トラブルを防ぐためには、測量・調査の段階で現状を正しく把握し、隣地と早めに協議を行い、買主様へ誠実に説明することが何より大切です。
具体的にどう対応すべきかは個別の状況によって異なりますので、売却をご検討の際は、不動産会社や土地家屋調査士、弁護士などの専門家へ早めにご相談することをおすすめします。
この記事を書いた人

- 山﨑 紘靖
- 過去に200件以上の不動産売却に携わり、 某大手不動産会社で営業成績No,1だった山崎が、 売却の専門家として、あなたの「最高額で売れた」をサポートします。
お問合せから第二の人生が始まります。
相談は無料です。ご依頼お待ちしています。
-
- お電話でのお問い合わせ
- 03-6450-7073
-
- FAXでのお問い合わせ
- 03-6450-7138



